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180 フライト中はお静かに

新年あけましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願い致します!


 コツをつかんだという事なのか、まぐれなのかはわからない。しかしとにかく、私はニコラスのいる崖目がけて降りていく。


 私の影に気付いたらしいニコラスが、降りてくる私をぼんやりと見上げる。ゆるゆると意識がはっきりしてきたらしいニコラスは、驚きの表情を浮かべた。


 そうして、本人の前に降り立った。





「はぁ、はぁ……ニコラス、大丈夫?」


 全力で制御したので、消耗が激しい。ニコラスを連れて降りるまで持つか分からないが、とにかくやるしかない。


「え……、え?」


 先ほどまで目の焦点が合っていなかったニコラスだったが、どうやら驚きでまっとうな意識を取り戻したらしい。

 私を見て、弱弱しいながらも驚いて口をぱくぱくしている。


「説明は後、早く降りるよ!」

「お、降りるって」


 そう狼狽えて身じろぎした瞬間、ニコラスが顔をしかめた。やはり大怪我をしているのか。


「やっぱり怪我してる? どこが痛いの?」


 そう言って覗き込んだが、ニコラスは首を振った。


「いや……。これが下敷きになってくれたおかげで、落下の怪我はほとんどしなかったようです」


 そう言われてようやく気づく。なんとニコラスの下や周辺には、サーリエの花が群生していたのだ。


「これ、サーリエの花!? そうか、崖の岩棚に風で運ばれた柔らかい土と、それに密集して生えたサーリエがクッションになったんだ……」


 そういえば、その可能性に思い至って崖を見上げたのだった。


 しかし、感心している場合ではない。危険な場所であることは変わらないのだ、早く降りなければ。


「とりあえず話は後。連れて行くから、来て」

「連れて行く……?」


 ニコラスはまだ少しぼんやりした様子だったが、問答無用でその手を取って立ち上がらせる。


「この道具で、私が貴方を安全なところまで連れて行くから。道具の後ろに跨って、私の腰に手を回して」


「手……。ん!? こ、腰!?」


 なぜかここでバチンと完全に目が覚めたらしいニコラスは、途端に真っ赤になった。


 ええい、こんなところで小学生男子の恥じらいを見せられても困る。まだるっこしい!


「はよ! 手!!」

「はっ、はい」


 びしっと言うと、ニコラスは反射の様にひしっとくっついてきた。よし、行くぞ。


 集中して、今度は丁寧に飛行具を発動させる。すると、幸いなことに先ほどと同じようにすんなりコントロールできた。


「うわっ!?」


 足が地から離れて、ニコラスが狼狽える。


「大丈夫大丈夫、落として怪我させたりしないから。ちゃんと掴まってて」


「な……」


 落ち着かせるようにそう言うと、ニコラスは一瞬黙ってからぎゅうっとしがみついてきた。

 

 ふふふ。なんだ、可愛い所もあるじゃないか。


 ちょっと愉快な気持ちになりつつ、ゆっくりと飛び立つ。

 ニコラスの体重の分重くなったため少しふらついたが、魔力の消費量が増えただけでなんとかなっている。


 よし、下降するか。

 そう意気込んだ瞬間、ニコラスが呟いた。


「……貴女はいつもそうだ。そうやって、入り込んでくる」

「ん?」

 

 ニコラスがなにやらごにょごにょ言っている。聞き返すが、いいえ、と遮られた。

  

「なんでもないです。それより、それが素の口調なんですか」

「えっ。んんっ、いやぁ、何のことでしょうか? うふ」

「普段は……。ヨハンには、いつもその口調なんですか」


 おうふ、一刀両断。ニコラスの中で私が「敵対派閥のご令嬢」から「がさつ令嬢」にランクダウンしたようだ。まーもういいか。


「いや、んー、たまにうっかり? でも聞こえないふりしてくれるから、最近は甘えてるかな」

「……くそっ。じゃあ、俺にもそうしてください」

「ええ!? なんで?」


 がさつ口調をご所望とはこれいかに。

 なんだなんだと振り向こうとしたが、ますますぎゅうぎゅう抱き締められて後ろを見られない。というか不安定な空中なのを忘れてた。


 今度こそ下降を開始したところで、ニコラスが顔を肩に押し付けてきたまま呟いた。


「貴女は酷い。忘れっぽいし隠し事が多いしヨハンを手元に置くし」

「な、なんでいきなりディスられてるの私!? どういうこと?」

「別に……。言ってもまた忘れるんでしょう」

「だから何を!?」


 ぎゃあぎゃあ(私が)騒いでいるうちに、がくんと高度が下がった。


 ま、まさか。

今年はもっと面白く書けるよう、精進して良いものをお届けしたいなと思っております。


拙い所の多い作品ですが、なにとぞお付き合いいただければ幸いです。ヽ(*´∀`)ノ

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