178 サーリエの花
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「うう、この年で迷子とか勘弁してぇ。いや、幼女だけど。幼女だけどアラサーだから……」
オロオロしながらうろうろと歩き回る。アベルさんに聞いた飛翔花、もといサーリエの花を探し回っているうちに、気付いたら皆からはぐれていた。
バージル兄弟にお願いして調達しようかと思ったのだが、サーリエはブートキャンプの植物図鑑にも載っていなかったような、少し珍しい花の一種であるらしく。
なにより、商業的に使われることがないため、今は栽培していないということだった。
しかし皇立庭園が部分的に生育環境に適しているらしく、稀に生えていることがあるということだった。
そんな花の事ばかり考えていたために、似た花を見つけては落胆し、その近くに白い花を見つけてはがっかりし、と飛び石の様に動いているうちに遊歩道からも外れてしまい、見事に迷った。
基本的には綺麗に整えられている皇立庭園で迷子になるとか、恥ずかしくって仕方ない。
なんとか誰かに保護される前に遊歩道にたどり着きたいという一心で動いていたのだが、動けば動くほど段々と低い場所へ来ている気がする。本来の目的地は高い所の筈だから、皆と真逆の方へ来ているかもしれない。
そんなことを考えて冷や汗をかきながら草をかき分けた先で、少し開けた場所に出た。
近くの崖が日陰になるのか、そこだけ木や草があまり生えていない。
広場の様になったそこを見て、がっかりする。どう考えても来た道を戻っている感じではなかった。
しかし、視界にちらりと白い物が見えた。なんだろうと見回してみると、草地の中にちらほらと白い花が落っこちているようだ。
ハッとして駆け寄りそれを拾い上げてみると、それは少し萎びているものの、鈴蘭の形をしていた。
これだ。これが恐らく、サーリエの花だ。
状況も忘れて少しばかり興奮してしまう。本当に見つけられるとは、実は思っていなかった。
これがもし有効だったら、飛行具の飛行時間が伸びたり、操作性が上がるかもしれない!
逸る気持ちを抑えて、これの本体を探す。崖の近くまで寄っていくが、近くにそれらしいものはなかった。
サーリエの花は確か、土が柔らかくて日当たりのいい場所を好む。ここでその条件に適しているのは……。
そうか! と顔を上げて崖を見上げた瞬間、私は信じられないものを見た。
短いですがここで一区切りです。




