171 ザイン
今の飛行具制作だが、これはアベルさんがもたらした知識により更に進んでいた。
まずアルヘオ文字は、絶対にアサメイで刻まなければならない。これは他の工具では駄目なのだそうだ。
理由を聞いても「さてな」の一点張りだったので理由は分からない。
その他にも「タロットの制御にもアサメイは必須」とかちらほら助言はくれるのだが、その情報源や細かいことは教えてくれないのだ。
あくまでも、私が大失敗して死なないようにという範囲でのみ手伝っているらしい。
そもそもタロット魔術やアルヘオ文字術について全てを知っているわけではないらしく、例えばタロットが何種類あるのか、などは知らないようだった。
そして、肝心のアベルさんラスボス化対策について。
これは私としては、私ごときとの交流ができたからとラスボス化阻止が果たせたと思っているわけではない。
幼女セラピーは少しずつ効果を見せている気はするが、私との会話を足掛かりにでもなんでもして、外の世界にもっと興味を持ってくれなければ到底安心はできないのだ。
よって、念のために、全ての情報を渡すことはしていなかった。
全く……。なぜ誕生日会に来たのか聞いても「さてな」だし、ちょっと踏み込んだ話をすれば「さてな」だし、あのさてなマンには早く心を開いてほしいところだ。
◇
さて。あの日、木端微塵になった飛行具を見て悲しみのあまり気絶したダヴ少年は、ひとまず同じ素材で作りなおした飛行具を片時も手放さなくなった。
はたから見れば、布でくるんだ棒を片時も手放さないちょっとやばい人である。しかし、この「片時も手放したくない」という気持ちは私も分からないでもなかった。
そこでお役立ちのアルヘオ文字である。
「安全を確認できた新しい文字」という設定で、小研究室チームに公開した新たな文字は「ザイン」だ。
この文字は恋人のタロットに対応し、そこからふたご座にも対応していると言われる。
廃塔の研究部屋で確認できたこの文字の効果はいくつかあるが、その中のひとつが「唯一の相手と結ばれる」と言うものだった。
例えば、魔石Aと物体Aをこの文字で関連付けると、違う場所に離しておいても魔石を発動させることで召喚することができるのである。
……そう、召喚。
「召喚魔法」なのである!!
その事実を確認できたときは、昂ぶりすぎて、今度は私が気絶した。
気絶した私を見たアベルさんは大層びっくりしたそうだが、タロット実験の時にはさらに何度か気絶しているので「段々慣れてきた」と言われたのは記憶に新しい。
ダヴ少年と同じ枠なのがなんとも言えないが、とにかく召喚魔法により飛行具を持ち歩かなくても良くなった。
とはいえ、ダヴ少年は「やっぱり、ずっと身近に感じていたい」と飛行具に対して恋人のようなことを言って飛行具を手離さなかった。なので結局、飛行具にザインをかけたのは私だ。
……そんな風にして、忙しくしていたのが仇となったのだろうか。
この日の夜、事件は起こったのだった。
憧れの召喚魔法、来ました!
魔法と言ったらこれありきですよね。書くのが楽しすぎる。
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そしてそして、しばらくの間は宣伝失礼致します。
「転生したら悪役令嬢だったけど攻略対象が全員死んでる……。」
というアホなタイトルの連載始めました。
そちらは恋愛色強め、ラブコメ風で探索ホラーゲーム風で乙女ゲーム風というカオスな感じです(笑)
このページ下のリンクから飛べますので、お暇な時にぜひ覗いてみてくださいませ(人´∀`*)




