157 誰かホワイト持ってきて
いやー、ハイライトが消えた目って、もうあれでしょ。
柔らかく微笑んでるし、よく喋るし、金髪や美しい顔のおかげでオーラはきらめいてるけど、なによりも目にハイライトがない。
目が死んでるって、これもうあれでしょ。
……どう考えても、“洗脳”されてまーすってやつ……。
そんな頭を抱えたくなる事象に気づいて逃げ出したくなったが、目の前の展開は続いていく。
「ガブリエラ、よく聞いてくれ。君がオーキュラスに対して少し苦手意識を持っていることは分かっているが、僕は、オーキュラスは信頼出来る友人にして家臣になると確信している。……どうか、僕に近しいもの同士、歩み寄ってくれないか?」
「分かりましたわ、アギレスタ様!」
「ありがとう。さあ、教室棟へ戻ろうか。……オーキュラス、それではまた」
「ぅえっあ、ハイ」
そう言って、歩き出した二人。
そして振り向きざまに殺意の篭もった目でこちらを睨みつけてくるガブリエラ。……あぁ、うん。あの皇子見た後だと逆に安心するわ。
「なんだったんでしょう?」
逆恨みしたガブリエラがまた私に手をあげるのではないか……と警戒していたユレーナが、隠密のように寄り添っていた私の後ろからそっと出てきて、心配そうに呟いた。
前に出ていたマチルダとヨハンも不可解そうにしている。
そうだよね。一番身近に、皇子の私に対する態度を見てきたから……誰よりも違和感が拭えないのだろう。
うーん、皇子を連れ去った「皇室側近」とかいう人達にやられたんだろうか?
内容はさしずめ、「ハイメとエドムンドどちらとも良好な関係を築け」とか「人望を回復することのみ考えろ」とかか。
まぁ、国がひとつかかっていることを考えると仕方がない気もするが……。
しかし、それなら何故入学と同時ではなかったのかなど疑問も残る。
なにより、アギレスタ皇子の精神……“心”は今、どうなってしまっているのか?
ルージ事件の時の両親のように、望まぬことをするよう思考誘導されているのか。
それともまさか……自由意思を消されてしまっているのか。
それが、少し気になった。




