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148 技師の兄弟

「思ったよりお早かったですね。……アリス様を驚かせたくて秘密にしていました、すみません」

 

 ローリエ様がうふふと小さく笑った。どうやら、エインズシュット家宛に前触れの知らせはちゃんと来ていたらしい。

 

「いやぁ、本当に大勢で来てしまって申し訳ありません」

 

 落ち着いた黒毛の青年がそう言うと、いえいえ、とローリエ様は微笑んだ。

 

 どうも話によると、ケモっ子達とこの新たな二人組は、私と桃紫コンビの三人にそれぞれ用があって来たらしい。

 きゃあきゃあと楽しそうにしているケモっ子達をどうどうと宥めつつ、垂れ耳黒毛の青年が自分達を自己紹介させてくださいと名乗り出た。

 

「私はブレイブ・メトロと申します。そして、こちらが弟の……」

「ダヴ・メトロと言う!よろしく頼む、アリス嬢!!」

 

 えっへん!と何故か胸を張ったダヴ少年の頭を、兄・ブレイブさんがぺちりと叩く。

 

「こら、ちゃんと敬語」

「むむっ、そうだった。よろしくお願いします!」

「私はアリス・オーキュラスと申します。よろしくお願いします……?」

 

 勢いに圧倒されていると、フレッジ様が二人を詳しく紹介してくれた。

 

「二人は金狼族に近しい黒狼族の者です。ダヴは物作りが得意で、アブデンツィア一年生。ブレイブは学園を卒業していて、獣人街で技師をしています。それで、アリス様に出された“空を飛ぶ研究”についてなにか良いアイデアはないか相談しに行ったところ……」

「うむ! まさか、こんな身近に僕と同じ研究をしている者がいるとは思わなくてね。 是非お会いしたいと、こうして馳せ参じたわけさ!」

「こらダヴ、けーいーご」

「むむっ!これは失礼した!」

 

 再び怒られるダヴ少年。しかし、全然兄の話を聞いていない気がする。

 

「まったく……。まぁそんな訳で、ダヴがアリス様に会いたい会いたいと騒ぎ、子供たちがそれに合わせて暴走しだしたので、結果として私が皆を引率して来たわけなのです。本当に突然で申し訳ありません」

 

 そうブレイブさんが申し訳なさそうに締めくくる。

 

 経緯は分かったけど、なんというか……凄いキャラが加わったな。

 どうやら兄のブレイブさんは苦労人なお世話焼きタイプ、そして弟のダヴはマイロード爆走タイプで、二人でニコイチであるらしい。

 

「あれ、ダヴじゃないか」

「む? おお、ヴィルヘルム先輩ではないか!久しぶりである!」

「久しぶり。……ほんと相変わらずだなぁ、君」

 

 騒ぎに気づいたヴィル兄様が苦笑しながら中庭に降りてきた。

 そうか、同じアブデンツィア生徒だから顔見知りなんだね。

 そして、謎の芝居がかった口調で敬語が苦手なのは周知の事実らしい。

 

「そういえば、お二人の用事は私に会う事ということですけど……他の子供たちはどうして来たのですか?」

「ええ、それは」

 

 そうブレイブさんが言ったところで、ふぇ!?というレティシア様の声と、えっ!?というローリエ様の声が同時に響いた。

 

 それに驚いて見れば、二人の前で……何人かのケモっ子が、跪いて従者の礼をしていた。

金狼族はふわふわで肉厚の大きな耳がぴんと立ってるイメージ、黒狼族は垂れ耳だったり立て耳だったりしますが、艶のあるしっとりした毛並みをイメージしてたりします(・∀・)ニヤニヤ


普通に血筋が混じってたりするので、金狼族なのに黒や茶だったり、その逆もあるかと思います。

簡単な設定は本文中でそのうち語るかも。

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