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潰れたいちご

作者: きい


いちごの甘い香りがします

とろとろに煮詰まるのは、まだまだよ

お鍋の前、じりじり待機中



春のやさしい匂いがします

太陽はもう夏と勘違い、まだまだよ

無防備なうなじ、じりじり焼かれてる




春風は突然強くなって、心の隙間に入り込む

立て付けの悪い網戸、がたがた揺れる

いまも、ときどき夢を見るの

前を行く人の背中、何も言えず泣いたの

振り向いてはくれなくて、嗚咽も喉を渇かして

それで知ったの、あなたが教えてくれたの




春の甘い香りは、とても残酷だということ









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