プロローグ
もっとなんか、プロローグはギュッと凝縮させたかったのでプロローグを変更しました。
ある一人の魔法使いが時を越えた。
遥かなる時の先、彼を知っている者は誰一人いない……こともなかった。
古き友と新しき友の助け。
現在を知らない太古の魔法使いが学校に通うが、
『ドラゴンに乗って空を飛ぶと航空法に引っかかる』
『火炎系の魔法を勝手に使うと温暖化防止法に引っかかる』
『魔神を召喚すれば権利条約に引っかかる』
『肉弾戦上等の魔法使いの体力についていけない』
そして…………。
なにやってんのよ、あいつ。部屋を出る時に遅れるんじゃないわよってちゃんと言ったのに……このままだと時間になっちゃうじゃない! 連絡もできないし……いい加減携帯持ちなさいよね!
「ごめん、待った?」
ようやく来た。
「遅い! どこで何をやってたのよ!」
「本当にゴメン。ちょっとした野暮用で」
三角帽子を取って謝ってくる。
まあ……間に合ったなら別にいいけどさ。
「ミスリムがとんでもないものを引っ張り出して来たわよ」
「鉄製のゴーレムだっけ? この目で見るのが楽しみだよ」
「ゴーレムじゃないわよ……工学魔導搭乗型機械兵器。早い話、ロボット」
って言っても、こいつは分からないか。今もキョトンとしているし。
「見て楽しむのもいいけど分かってるの? 私達はそれと戦わないといけないのよ。巨体なのは当然で、馬力やスピードだってある。さらに、搭乗者の魔法も反映されて使われるのよ。あいつは炎の伝承者『焔の巫女』。とんでもないわよ」
「そんな過敏にならなくても……いつも通りと言えばいつも通りじゃないか。基本的に魔法使いは常に身体能力値が上の相手を敵にする。能力値の総合で勝負が決まるっていうんなら、魔法使いは最弱の職業だよ」
「ステータスのデータを見た時点で勝負を半ば決める、今の魔法使い達が聞いたら笑うでしょうね」
「カレアラさんも笑う?」
「笑わない」
直視できないほどの笑顔を返してくるわね。あのドラゴン娘の屈託ない笑顔は、絶対にこいつ譲りね。
「とりあえず検証してみて、何とかする方法を考えないとね。カレアラさんに無理を言うかもしれないけど、僕も精一杯手伝うから」
三角帽子にマント、木の杖をつくその後ろ姿。今時そんな動きにくい恰好をしている魔法使いはいない。でも、レイにとっては今時の格好だ。
彼は古代からやってきた。
未来を象徴するようなものっていえば、空飛ぶ車かロボットですよね~。というわけで、魔法使いとロボットが戦います。