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花野町八丁目の拝み屋  作者: 白千ロク
第一幕 あやかし参臥
5/5

 いろいろな話をした昨日の今日で、古川は墓に顔を出した。月命日にも来ていたのだが、やっぱり会いたくなってしまったのだ。


「かなちゃん、お願いがあるんだけど……」


 いつものように掃除をし、手を合わせたあとでのおずおずとした日菜乃の申し出に、古川は「どうした?」と問うた。


「お母さんのお墓、かなちゃんのお墓の端に作りたいんだけど……、いいかな?」

「もちろん俺はいいけど、そこは住職さんに聞いてみないと解らないな」


 【あやかし】を引き連れて住職に挨拶をする傍ら、了解を得た日菜乃は小さな木の枝を拾って土に挿した。とても簡易であるのだが、母の墓を作れなかった日菜乃にとっては十分である。要は、弔う気持ちが大切なのだ。数秒間の沈黙のあと、彼女は「よし、帰ろう!」と立ち上がる。


「お母さんに報告したよ。――わたしは大丈夫だよって」

「届いているといいな」

「届いていることだろうよ」

「そうだろうな」


 古川の言葉に同意した言葉を紡いだ【あやかし】たちに、「今日はなにが食べたいんだ?」と訪ねる。


「ちらし寿司! おいしかったからまた食べたいっ」

「ありがとう。日咲に雅盛は、それでいいか?」

「稚児が作るのならなんでもこいだ!」


 「おう」と答える古川の手を取りながら、【あやかし】たちは笑みをこぼす。


 寒空のしたでも、元気よくはしゃぎながら。




 

(終わり)

【 あとがき 】


最後までお付き合いありがとうございました。

感想や評価をいただけると嬉しいです。

また、連載中のブックマークや評価は大変励みになりましたので、この場を借りてお礼申し上げます。


▼ 以下捕捉です ▼


【 第二幕の補足 】


友達の猫イコール友猫。造語です


【 第三幕の補足 】


[こう【恋う】の意味]

特定の異性に心ひかれて、その人を思い慕う。また、特別な人物や場所などを強く慕う。恋する。

(goo国語辞書より)


◆ 執筆時期 ◆

執筆開始 : 2015.10.04 - 執筆終了 : 2018.04.04

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