ステータスについて
もはやただの愚痴になっているような気がしないでもないこれ系シリーズ。
今回は『ステータス』についてです。
とは言っても、今回のステータスはゲームものでの話ではなく、ファンタジー世界においてのステータスです。
何言ってるかわからない人もいるかもしれませんので、少し説明を。
ゲーム世界でのステータスとは、そのまんまの意味で、キャラクターとしての能力値を視覚化したものです。
で、ファンタジー世界においてのステータスは、ココ最近で頻出しているやつです。何故かその人の能力が数値として見れるというヤツ。
書いておいてなんですけど、どっちも同じ気がしてきました。
でもこれ、ゲームだからこそ『ステータス』が許されるのだと思うのですよ。
だってそれはダメージやら何やらを計算するために必要だから、数値として表示しているわけですよ。
でもこれがファンタジー世界だとどうです?
いくら創作の世界で現実には存在していないものでも、創作上の世界の中ではそれが現実なわけで、そこに自分の全てが数値化されて見れるとしたらどう思います?
それが『目安』ならいいですよ。現実にも測定ってのがありますし。
でも、それがその人の『全て』だとしたらどう思います?
ゲーム的な意味で、視覚化されてわかりやすくしたステータスっていうのはそういうことですよ。
そもそもそのステータスの基準だって不明です。
誰が作った? 誰が平均? どれぐらいあれば優秀?
これら全てが誰の手によって、どんな風に作られたのかを考えないとただのご都合主義です。
例えば筋力50を平均として、筋力70の人がいます。
しかし、この『数値』はどうやって出しているのでしょうか? 神様ですか? それともステータスを出している人? そもそもどうやって測定しています? もっと言うなら、この数値って凄いんですか?
何かしら操作すればいつでも見られる(例えば魔法)、なんて設定の人もいますが、これもどう考えたっておかしいでしょう。何で自分の能力が見れるんですか? というか、それって本当にいいものですか?
だって自分の今出来ることが全部わかるんですよ? 自分の全てがわかってしまう、そんな世界はつまらないと思います。少なくとも、『現実』に限って言えば。
数値がわかることによって、確かに仕事等の適性はわかりやすくなるでしょう。しかし、それにしたって『〇〇以上ないとダメ』という制限を増やすことに他ならないわけで。
メリットもありますが、そういうデメリットらしきものも生まれるということは把握しておかないとダメでしょう。
さて、ここでファンタジーな世界でよく使われるステータスを並べてみましょう。
・筋力
・敏捷力
・魔力
・精神力
・知能
・器用
・運
現実に数値化されて見れるとして、実際に作用してわかりやすいステータスとしてはこんなところでしょうか。
でも、これに関したって穴だらけだと思うのですよ。
筋力や魔力、敏捷力や器用はまあいいとします。これは測ろうと思えば図れますし、基準もわかりやすいものでしょう。あくまでも客観的な基準ですが。
精神力に関しては基準もクソもないと思うので、これは自分はよくわからないです。多分、魔法抵抗力みたいなものでしょう。そうと考えれば、まあ測れるのですかね。
ただ、知能は全くの意味不明です。これ、どうやってステータスにするんです?
知能って勉強的な意味での頭の良さだけじゃないですよね。機転とか、発想力とか、容量の良さとか、そういったもの全てを含めて『知能』とするはずなんです。
それら全ての基準は本当にどうやって決めるのかが全くわかりません。
そもそも、知能というステータスを出してしまうと、それがそのままその人の頭の良さがわかってしまうわけですよね。これは流石に問題でしょう。
だってバカはバカと決定されてしまっていますから。
総合力としての知能が小さな値だとわかるって相当な地獄ですよ、これ。『自分には勉強以外の頭の良さがある!』と自分を慰められないわけですし。
もちろん、筋力等が優れていればモンスター狩ったりして生活も出来ましょうが、頭が悪いと言われるのは相当な屈辱になるでしょう。
運のステータスもわけわからないです。この運って、誰が何を言おうが、主観的なものでしか判断できないでしょう。
誰の目から見ても運が良く見える人もいますが、その人はその人で不幸と感じているかもしれません。また、その逆も然りです。
こんなもん、数値に表せるわけないでしょうに。ゲームじゃあるまいし。クリティカルでも出るんですか?
異世界転移、転生でこういうステータスを出すときには要注意です。
まかり間違って知能や運を999とかいう、大抵の人が思い浮かべるであろう最高数値にでもした日には、意味不明の物語が出来上がります。
特に転移もの。これは致命的だと思いますね。
だって、『転移』ってことは、その世界の知識が何も無いってことじゃないですか。
当然、その世界の技術――大抵魔法でしょう――も現段階では使えません。
にも関わらず、最初から999。これ、いきなり知能のステータスが破綻しているとしか……。
何で判断しているか見当もつきません。
同様に、運999もおかしいです。ご都合主義通すための緩衝材にしか見えません。
わけのわからない世界に投げ出された時点で不幸な気がしますが、最終的には幸運になるという意味での運というのもあるので、そこは突っ込みません。
まあ、いろいろ脱線しまくって何が言いたいのかわからないかも知れませんが、要約すると『定義をあやふやにするな』ということです。
ステータスを出すなら必ず基準になる値を最初に提示するべきですし、客観的に見て判断が難しいものはステータスとして数値化するべきではありません。
さらに、わざわざ数値化しているということは、その数値はその人の暫定的な能力の限界ということです。
なのに絶対的な格上をバンバン倒す、なんてことを起こしてしまうと、これまたステータスの意味がゼロになります。
ホイホイ変動するなら、その要素別に要らないですよね? せっかくわかりやすくしても、場合によって変動するならその数値に意味なんて全くないですし。『真の力に目覚めた!』とかいりません。普通のファンタジーでやってください。
数値化されているなら、その戦力差は覆せないものと思って作るべきです。じゃなければ数値化する意味は皆無です。
さて、ここまで読んだあなたの物語に『ステータス』はありますか? もしあるのなら、それは必要なものですか? 定義はしっかりしていますか?
ここをしっかり考えないと、その設定は蛇足、ひいては矛盾にも成りえますので注意してください。
あ、最初の方に言いましたがゲームならいいです。ただし、ゲームなら絶対に格上は倒せませんがね。
だってデータですし。一つでも相手を上回っている何かがあるか、人数で押し切らないとまず無理です。ゲームは単純な数値の計算でダメージの算出をしていますから。
数値化されている物語なら、格上倒すとかわけわからんことしないでください。