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ツンデレ彼氏と、笑う彼女

作者: 独りっ子

「ほら、もっと腰を落として。両足をしっかり地につけないと相手に吹っ飛ばされるよ?」

「チッ。……わかってるよ」

「もう。すねないでよ。男の子なんだからしっかりやってよ」

「あー! わかったわかった! 男ってことは関係ないし、そんなに身体を近づけなくてもわかるから!」

「えー? そんなこと言っちゃって……本当はボクのやわらかい身体が当たるのが恥ずかしいんじゃない?」

「な、な、な! そ、そ、そ、そんなわけねえしっ!」

「照れちゃって。本当に(あゆみ)はツンデレだなあ」

「ツンデレ言うな!」


 太陽が沈みかけている、人っ子一人いない公園。何も履いていない俺の足には尖った石がときおり自己主張を繰り返す。何度も固いサッカーボールが当たるため、足の甲には真っ赤な跡がくっきりと残っていて、見ていて痛々しい。軸足である左足の裏は何度も踏ん張ったおかげで軽く出血をしていた。


 こうなったのはすべて、幼馴染である川花(かわばな) 由美奈(ゆみな)のせいだった。


 素肌感覚でボールを蹴るのが一番上達が速いとか、ボールを遠くに飛ばすにはまず当てる位置が大切だとか、軸足が駄目だとサッカーは成り立たないとか。


 由美奈が口うるさく出してくる指示にすべて答えていると、いつもこうなってしまう。一回くらいは言いかえしたい、そうは思っているが、言いかえして成功したことはない。むしろ、特訓メニューがひどくなってゆくだけだ。 確かに由美奈の指示は的確で、守れば確実に成長する。だから反論の意思があっても、言われたことは大抵こなす。だが、指示の内容がいちいち笑えないのだ。


「もうちょっと軽いメニューはないのかよ……」


 吐き捨てるように言った。由美奈はその言葉を耳聡く聞きつけると、にやにやしながらつぶやいた。


「素振り千本三セットが一番軽くて簡単なメニューだと思うなあ……」

「っ……」

「あれ、謝罪はないの?」

「っ、お前ってやつは!!」

「ほら、ごめんなさいっていいなよ」「……ご、ごめんなさい。……ちっきしょー! いつか絶対に言いかえしてやるからなっ!」


 ちょっと希望しただけでこれだ。逆らいたくてもアレがある限り、俺は由美奈に逆らえない。いつか、と毎回のように言っているが、そのいつかは来るのか。


「じゃあ次はキープ力強化の練習をするよ。まずはボクの姿勢を真似てみて」


 そう言って、由美奈は目の前にボールを転がし、向き合ってから腰を落とした。膝と腿の角度は見事に九十度に、広げた手もちょうどいい幅になっていて、見事にバランスが取れている。

 ……センスだけでこの構えが出来るなんて、本当にすごいな。長年ディフェンスというポジションを経験してきて最近やっとなってきた構えだというのに。由美奈はそれをセンスだけでやってのける。考え事をしながらも、俺は指示された通りの姿勢をつくる。


「よし。じゃあ、試しにボクからそのボールを守って見せてよ」


 そういわれて、反射的に目の前のボールを見つめる。白と青だけで彩られた使い古されている五号球はどこか、笑ってるようにこちらを見つめていた気がする。片隅に大きな字で『さの あゆみ』と書いてある姿は不思議とこちらの涙を誘った。


「制限時間は十五秒。相手はか弱い女の子なんだから、これくらいできるよね? よーい、すたーと!」


 勝手に言いきって、由美奈は俺に身体を寄せてきた。うすい胸ではあるが、しっかりと感じられる感触に惑わされそうになるのを耐えながら、俺は踏ん張った。 しかし、か弱い女の子だとは思えない強い力で押され、俺は少し猫背になってしまう。前かがみになったとき、気付いた。


 ボールが、ない。


 反射的に由美奈の方に目を向けると、得意げに笑いながら親指を突き出していた。地面から少し浮いている左足にはさきほどまで俺が守っていたボールが乗せられていて、『さの あゆみ』の文字を誇らしげに見せつけていた。



 * * *



「歩ってホントツンデレだよねー。ボクみたいに素直になればいいのに」

「ツンデレ言うな。俺は素直だ」

「じゃあ……ボクのこと……好き?」


 バリン!

 持っていたガラスのコップがフローリングの床に落ち、悲しく音を響かせた。


「あーあ。やっちゃた」

「っ……。ご、ごめん……」


 しょぼくれる俺の背中に手を回し、耳元で


「大丈夫」


 と囁くと、キッチンにあったビニール袋にコップの破片を片づけ始めた。あっという間の出来事に、固まっていたがすぐに自我を取り戻し、俺も片づけを手伝い始めた。


「さっきのキープ力練習の罰ゲームで料理をつくってもらう、なんて言ったボクがバカだったよー」

「だ、だからごめんっていってるだろ!」「はいはい。ツンデレ乙」

「お、乙?」

「お疲れ様、ってことだよ」

「だ、だから俺はツンデレじゃねーし!」「じゃあボクのこと……どう思ってる?」


 再びその言葉をつけると、由美奈はしゃがんでいる俺に四つん這いで寄ってきて、上目づかいで首を傾げた。夏用のうすく、無防備なTシャツからはよく外で遊んでいるのにもかかわらず、真っ白な処女雪のような肌が露出していて、俺の情欲を誘った。 その先には白色の可愛らしい下着が……って駄目だ! 余計なことを考える前に、俺は視線を顔に固定した。


「べ、別に……な、なんも思ってねーし」「へえ~……」


 目を細めて、心情を見透かそうとしてくる視線から逃げるように今度は顔を逸らし、立ち上がろうとした。


「あー、すべっちゃったー」


 驚くほど感情が入っていない声が耳に入ったと思うと、強い力で俺は服を引っ張られた。まだ俺は由美奈の方を向いていた。だから、偶然に俺は由美奈を押し倒すような体勢になるように倒れてしまった。 


 どうみても由美奈がわざとやっている。 

 どうせ俺が由美奈から意識をそらして立ち上がろうとしたところを狙って引っ張ったのだろう。閉じてしまっていた目を開き、由美奈に文句を言おうとすると。


「そろそろ……素直になってくれない……かな?」


 頬を赤く染め、やけに艶やかな唇を尖らせた由美奈がいた。服は乱れていて、透き通った白をしたお腹が見えている。何故かデニムのホットパンツのベルトは外されていて、白色のパンツが軽く顔を出していた。上下共に白で下着は揃えられているようで……いや、考えちゃダメだ。


「お、お前。だ、だから俺はお前のことをなんとも」

「気付いてるよ」

「え?」

「歩はね。照れてるときはボクのことをお前、って呼ぶんだ。ほら、そろそろ素直になってよ。……ボクだって恥ずかしいんだ」


 照れたように視線を俺から逸らすが、すぐに俺を見つめる。段々と目を閉じていき、俺の顔へと近づいてくる。ピンク色をした艶やかな唇はまるでキスを待っているかのように尖らせていて。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

「ん?」

「あ、あのさ。こんなに急いで結果を出そうとすると色々と過ちが起こりそうだしさ、また日を改めて……」

「十年」

「え?」

「ボクは十年間君の答えを待っているよ」「じゅ、十年? お、俺はその時はお前のことをなんとも想って」

「また『お前』って言ったね。動揺してるのが丸わかりだよ。……じゃあ、証拠を見せてあげるよ」


 そう言い切ると、由美奈は俺から離れて何かを探しに行った。つかの間の休息だ。さっきは何がなんだかよくわからなかったし、急展開すぎてまともに喋れなかった。あの短い時間で、とても重要なことを語られて様な気がするし、言おうとした気がする。今度はもっと冷静に……


「はい」


 突然目の前に現れたのは古ぼけた手紙だった。かつては白色だったと思われる便箋が、今ではすっかりセピア色へと変色してしまっている。開かれた手紙には、ひらがなで『あゆみくんだいすき! ゆみなより』と書かれている。 丸字で書かれているのが妙に可愛らしい。今のボーイッシュな雰囲気の由美奈とは大違いだな、とも感じる。昔は普通にわたし、って言ってて普通の女の子だったことをふと思い出す。そのころ俺はどんな子供だったのか、今になって昔の自分はどうだったのか気になるな。

 俺は由美奈のことを何とも思っていなかったが、由美奈は俺のことを想っていたのか。


「現実逃避しない。ほら、ボクを見て?」


 顔を両手で持たれ、強制的に由美奈を見つめさせられる。押しのけようとするが、強い力で押さえつけられる。


「うっ……」


 せめてもの抵抗とばかりに視線を下に逸らすが、由美奈は顔を下にずらして視線を絡めてくる。


「あ、明日だ!」


 思いついたように叫ぶ。また、ばかりに冷たい視線を向けてくる由美奈を無視しながら、俺は言葉を続けた。


「また期間を延ばすの? そうやってなかったことにしようとするなんて絶対に許さな……」

「ほ、ほら! 証拠だ!」


 俺はセピア色の便箋の裏に、手近にあった万年筆を使い『明日、告白の返事をします』と書いた。由美奈は俺を疑うような目で見ながら注意した。


「ちゃんと誰が誰に宛てているのかわかるようにしないとだめだよ。それに告白って言っても好き嫌いの告白もあるからちゃんと恋愛の事ってわかるようにしなきゃ。ほら、追記して」


 忘れてた。俺の幼馴染はとんでもないくらいの慎重派だった。何にでも手間と時間をかけて、念のためと誤魔化しながら最悪のパターンを見据えて行動する。一時期はあまりの手の込みようにうんざりしていた時もあったな。


「わかった……」


 変に反論しても怖い。ここはおとなしく従っておこう。用心深い由美奈のことだ。どうせ対策はされているだろうしな。


 俺は、時間をかけて丁寧な字で言われたところを追記した。書いている間も、俺が何か仕込もうとしていないか、由美奈がずっと観察をしてきた。流石にここまできて何かを工作する勇気も度胸もないのだけど、その気持ちもわからなくはない。今まで由美奈の想いに気付かなかったと言えば嘘になるが、逃げていたのは本当だったからな。


 もし俺が逆の立場だったら。そう考えてみると由美奈はできた人間だと思う。俺はどちらかといえば短気でわがままな人間だけど、由美奈はなんにでも寛容で周囲に合わせることが出来る人間だ。女子は男子より精神年齢が上だとは聞くけど、きっと由美奈は同年代の女子の中では大人びている方だろう。


 一つ問題を上げるとすれば、だ。ボーイッシュで女子らしく振舞わないことが多いくせに、たまにこっちを誘惑するときは、はっきり言うと痴女になる。


 やけに艶やかな振舞いをしたり、上目づかいでこっちを見つめたり、わざと首元の緩い服を着ていて見えるように胸チラするとか。 必死で耐えるこっちの身にもなってほしい。ここまでされて手を出さない忍耐力だけは、自分でもすごいと思っている。頑張って春を思う時期ど真ん中の男子学生が目の前の欲望に飲まれそうになってしまうのを押さえるのは正直地獄だ。生殺しといってもいい。


 素直になったら負けだ。由美奈の策略に飲み込まれる。


 ……素直になれないのは由美奈のことを俺が想っているからかもしれないが。


 でも俺は誓う。


 絶対に素直にならないと。


 ただ、よくよく考えると、告白というのは自分の想いを素直に暴露することだった。つまり、俺の誓いすぐに破れたということに……いや、これはしょうがない。俺が甘かっただけだ。忘れよう。


「しっかり書いたね。じゃあ、また明日! ……あ。明日はここに来た方がいい?」

「いつもの時間に頼む。それじゃあな」「うん。わかった。じゃあね、ツンデレクン!」

「ツンデレ言うな! だから俺はツンデレじゃないからな!」


 段々と遠ざかっていく由美奈に、俺は叫んだ。


「その答えが明日聴けることを楽しみにしてるよ!」


 うまい具合に言いかえされた。



 * * *



 今日、いよいよ俺のこれからが決まる日だ。朝からシャワーを浴びて髪の毛を整えたり、ストレッチをして身体を伸ばしたり、日課の筋トレをしたり。


 いつもなら退屈に感じる時間も、今日はあっという間に過ぎていった。思えばこうして貴重な日曜日を家で過ごしたのは久しぶりかもしれない。最近の俺は、自転車かジョギングで遠出をすることが多かったからな。ゆっくりしていると、おとなしかった小学生の頃を思い出す。あのころは由美奈が俺を引っ張っていくような形で遊びに連れ出されていたな。


 昼ご飯を軽く済ませ、俺は家を出た。


 時刻は二時前。いつも練習が開始されるのは三時からだが、早く行っておいた方が準備をしやすいだろう。いつもなら少し憂鬱な時間ではあるが、今日はただただ緊張する日だ。 あいにく告白をするのは練習の終わった夜であるため、まだ先のことであるが、どうしてもマイナスなことばかり考えてしまう。


 告白が成功するだろうか。素直になれずに想いを伝えられないだろうか。


 そう考えたとき、俺は気付いた。


 ……いや、待てよ? 小さいころ、告白をしてきたのは由美奈の方だ。今でもその想いが続いているとなれば、告白は成功確実なのでは? いや、そんな甘い考えでは駄目だ。今由美奈は俺のことを何とも想っていない。こう考えておいた方が俺も自分から一歩踏み出さなければ、という意志を保っていられる。


 ひたすら心をかき乱していると、俺はいつの間にか公園についていた。目の前を素早く通ったトラックに心を冷やしながら、俺は一度深呼吸をした。そして、公園に目を向けた。するとそこにはすでに由美奈がいた。って……


「なんで居んの!?」

「え? いちゃダメだった?」


 不思議そうに首を傾げる由美奈を指さしながら、俺は矢継ぎ早に喋る。


「今、集合一時間前だぞ!?」

「うん。そうだね。……でも、わかるでしょ?」

「ん? 何がだ」

「心がドキドキして落ち着かないの。今日という日をどれだけ待ち望んでいたか……」

「うっ。……そ、それはそうとさ。れ、練習やろうぜ?」

「はいはい。じゃあ、今日はオーバーラップの練習として、最高速度でのドリブルの練習をするよ。じゃあまず……」


 そうして、いつも通りの練習が始まっていった。


 しかし、由美奈はいちいちあざとすぎる。練習の合間合間に、告白、好き。という言葉をちょくちょくはさんできて、誘惑をする姿もいつもより多い。そして、あからさまなのも多い。

 滑った、などと言いながら押し倒して来たり、調子が悪い、といいながら唇を差し出してきたり。告白、という重要なイベントがあるから、俺もうかつに避けることはできない。まさか、このことも考えて誘惑しているのか? ……まさかな。


 なんとか練習が終わり、俺は由美奈に言った。


「今日の夜。由美奈の部屋で」

「えっ!! ……歩が自ら夜這いを仄めかす発言をするなんて……」

「ち、違う! あ、あれだよあれ!!」「えー? あれってなんですかねえ」


 とぼけたようにいうこいつが憎たらしくてしょうがない。ふつふつとわきあがってくる怒りを拳を握って押さえながら、小さく囁いた。


「……こくはく」

「待ってまーす!」


 そう言いきって、由美奈は走って去って行ってしまった。


「あいつ……」


 ため息をつきながら、ボールを拾った。軽く砂を払って、リフティングをしながら公園の外へと歩いていく。ちょうど由美奈がこっちを向いた。笑顔でこっちに手を振ってくる。軽く手を振りかえしてやると、由美奈は顔を隠しながら後ろを向いた。


 いつもあんだけ肌を露出する癖に、この程度で照れてどうする。……俺も人のことは言えないけどな。


「キャーッ!!」


 ん? 悲鳴が聞こえた方を見る。またふざけて由美奈が悲鳴を上げたかと思ったけど、どうやら違うようだ。声に緊迫感があり、切羽詰っている感じがする。気になってその方向を凝視してみた。


「っ!?」


 それが視界に入った瞬間に、俺は反射的に駆け出していた。乳酸がたまっている足を本気で動かし、地面を蹴り飛ばす。


 由美奈と会った時から、由美奈とサッカーを始めたころから、コツコツと鍛えていたふくらはぎの筋肉が今、躍動する。風を切る音が間近で聞こえるが、あきらかに音が大きい。どうやらいつもよりスピードが出ているようだ。


『つま先だけで走った方が単純に速くなるよ』

『ボクは、だけどね。地についている足で地面を思いっきり蹴った方がスピードが出ると思うんだ』

『腕は思いっきり振る』


 由美奈の声が思い出される。今までに教えてもらったどうでもいい知識、ためになる知識、すべてが俺の脳内で自己主張を繰り返す。俺を使え、私を使ってくれ。俺の体中の細胞が俺のために叫んでくれる。 全ての事は、一つを考えていた。


 トラックに轢かれそうになっている由美奈を助けろ、と。


 ふと、風が吹いた。


 まるで、俺の背中を押すように。柔らかな追い風だった。


 ふと、左右を見た。


 まるで、俺のために道をあけてくれているように。何もなかった。


 ふと、前を見た。


「あゆみいーーーっ!!!」

「ゆみなっ!!!」


 由美奈が必死に手を伸ばしていた。


 俺は、手を伸ばした。


 スローモーションに動く互いの手。


 狂った表情をしているトラックの運転手の顔。


 吹き付ける風。照りつける太陽。視界には太陽の光を反射するアスファルトが。


 俺は由美奈だけを受け入れ、他を全て、拒絶した。


「ゆみなあああああっ!!!」


 由美奈の手が触れた刹那。


 時が動き出した。


 突っ込んでくるトラック。お前みたいなクソッタレクレイジー野郎なんかに由美奈は触らせるかよ。


「あゆみいいいいっ!!!」


 俺の胸に飛び込んでくる由美奈を抱きとめて、俺は横に跳んだ。


 トラックの運転手はあいかわらず気持ち悪い顔をしていて、狂った笑い声をあげていた。そして追いかける対象を失い、操縦する主を失ったトラックは……


 俺たちの居た公園に突っ込んだ。


 砂利がまかれていた地面が、削られる。小さいころに上ったジャングルジムが、折れる。

 全てが、破壊される。長年を過ごし、成長と苦楽を共に味わったその公園は、破壊された。公園ということを示すオブジェクトが、消える。


 さよなら。


 最後に残った滑り台が、涙交じりに告げてくれたような気がした。


 そんな中、由美奈と俺は笑っていた。


「あははははっ。よかった、ね?」

「ああ。ありがとう」

「それはこっちのセリフだよ」

「好きだ、由美奈」

「え? ……あはははは。長すぎだよ、その言葉一つでどれだけ待たせてるかわかってる?」

「……ごめんな」

「ううん。いいんだよ」

「ありがとな」

「やっと……やっと、だよ」

「ん?」


「やっとデレてくれたね、ツンデレクンっ!」


 ただただ、笑っていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] タイトルがホモってますよ!
2015/05/23 07:51 退会済み
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