その27
「何かな、ダヴーさん。私が変なことを云ったかね?」
静かな面持ちながらも、なにやら不可思議な迫力を双眸に秘め、笑顔で暁生はアールマティを見た。
「えーっと……。明神君、脳筋だよね?」
思いも掛けぬ反応を目の前にして、困った表情を浮かべながらアールマティは周りを見渡す。
「ええ、脳筋ですよ、先輩。まあ、それを打ち消すだけの知性はありますがね、俺様ほどではありませんが」
アールマティの問いにいの一番に返事を返したのは、何故か自信満々に答えるクーロンであった。
「まあ、脳筋の類でしょうけど、普段は知性を優先させていますよ、明神会長」
いつの間にか戻ってきていた闇飛もそれに続く。
「俺の知っているあっちゃんは脳筋の中の脳筋。正しく脳筋の王。その脳筋の前では道理すらも引っ込む、脳筋族の皇帝と云っても過言ではない究極の脳筋生命体だなあ」
リオンは遠慮無しでけろりとした表情を浮かべて言った。
「君達なあ」
思わぬ展開に暁生は脱力する。「もう少し云い様というモノがあろうが」
「意外だな。第一印象は理性的な神族に見えたんだが?」
それまでじっと聞くに任せていたレクサールは素直に思ったままのことを言った。
「あー、本能と知性という意味では、あっちゃんは知性の神だぞ? 吃驚するぐらい理詰めで来るからな」
リオンはレクサールの感想に対して率直に答えた。
「……? だったら、なんで脳筋扱いなんだ?」
リオンの言っている事が前後の発言から少したりとも理解出来ずに、レクサールは悩んだ。
実際の所、レクサールは基本的に自分が目にしてきたものしか信じない質であった。だからと言って、信用に足る人物の言ならば受け入れる度量が無い訳では無い。
その為に、この様な相矛盾する証言を受けた時、思い悩むのである。




