その26
「素晴らしいご高説で」
人数分の湯飲みを盆に載せてきたクーロンが笑いかける。「どうぞ」
「気が利くな。それで、伝達は?」
湯飲みを受け取りながら、リオンは確認を取った。
「恙無く完了させました」
戯けながらクーロンは最敬礼して見せた。
「結構。それにしても、予定ではもうちょっと余裕があったはずだったんだがなあ?」
どこで計算が狂ったのかを悩みながら、リオンは溜息を付いた。
「世の中何もかも計算通りに行くものか。どこかしらに落とし穴はあるモノだ」
つまらなそうに切って捨て、暁生はお茶請けの腰間を口にした。
「そりゃそうですがね? だからこそ余裕を持って行動していたんですよ?」
正論で推してくる親友に対し、リオンは精一杯の反論をして見せた。
「リオン、おまえさんの計画はおまえさん基準過ぎて他を高く見積もりすぎている。もうちょっと、他人がどうなのかを見る癖を付けた方が良いと思うがね」
熱いお茶を啜らせながら、暁生は冷静に問題点を付いて見せた。
「……あっちゃんがここまで正論を云うとは……」
驚きに目を見開き、リオンは絶句した。
「待て。リオン、私のことをなんだと思っていたんだ?」
流石に看過できなかったのか、暁生は厳しい表情で詰問した。
「全てを力業で解決する鬼神?」
真正直にリオンは即答した。
「人を脳筋のように云うな」
憤慨する暁生に対し、
「えっ?」
と、意外なところから驚きの声が上がった。




