その25
「貴女に然う云われると複雑な気分だな、全く」
リオンにしては珍しく渋面を浮かべる。
「だったら気を付けることだ。うちの学園で事この件に関して云えば、リオン、おまえさんの味方はいまい」
暁生ははっきり断言し、そのままロビーへと向かう。「それで、雁首揃えてなんでこんなところにいるんだね?」
「それを今更聞くかね?」
暁生を視線だけ追いながら、「レクサールの荷物が来ないから、ここで時間を潰していたところさ。まあ、この調子なら、歓迎会が先に始まりそうだがね」と、肩を竦めながら、リオンは言った。
「成程な。それなら理解出来る」
軽やかに笑いながら、暁生はロビーのソファーに腰を下ろした。
「……申し訳ない……」
身を縮こませながら、アールマティは再度謝った。
「むしろこちらの方こそ、アンヌがお手数を掛けまして……」
レクサールもまた、気まずそうに謝り返した。
「二人とも、そんなところで不毛な謝罪をしあっていないで、こっちで寛ぎたまえ。どうせ、部屋に戻る余裕などどちらにしろなさそうだからな」
かんらからと豪快に笑い飛ばしながら、暁生は二人に手招きして寄越した。
「相変わらず大雑把というか、無駄に豪快というか……」
中半呆れた口調でリオンは肩を竦めた。
「何、ああいう時間の無駄が好きではなくてな。どちらも悪くないのは分かり合っているんだ。当事者が来てからもまた話を蒸し返されることが分かり切っている事で時間を潰されるのはこっちの精神衛生上に悪い。だったら、そんな時間は気の置けない仲間との莫迦話で過ごすに限る」
その暁生の台詞はどこまでも自分勝手な論理の筈なのに、言葉の端々からはむしろ優しさや思いやりを感じさせられた。




