その23
レクサールの浮かべる穏やかな頬笑みを見ながら軽く周りを見渡し、
「……まあ、云いたいことは分からんでもないな」
と、暁生は同意した。
「それはまたどういう事だい?」
ぴんとこなかったのか、リオンは更に首を傾げる。
アールマティも興味津々と言った表情で暁生を見た。
「いやなに。おまえさんとダヴーさんが居て、私が居る。そして、デズモリア君も居る。要は然う云う事だろう」
静かな佇まいを崩さず、暁生は然う言ってから己の下駄箱へと向かう。
「いや、それ、意味分かんないから」
何と反応して良いのか困った口調でリオンは親友の背中に声を掛けた。
「おまえさんの爺様の遺業の結実がここにある。然う云う話だと私は理解した。反目していたはずの諸種族が気が置けない間柄となり、下らない世間話で笑い合う。これを良いと呼ばずして、何を良しとするべきか」
自問するかのような締めを口にしながら、淡々と暁生は内履きを用意する。「云われてみて私も気が付いた。確かに、悪くはない。むしろ、良いと思える。世界広しと云えど、これほど天界、魔界、現世の住人が打ち解けている場所はあろうか? 私たちは誇るべきであろう、この場を創り出している事実を、な」
何の気負いもなく言ってのけた暁生をその場にいる他の三者は三様の感動に近しい何とも言えない感情を覚えた。
「……云われるまで気が付かないとは、俺としたことが迂闊だったよ」
リオンは大きく溜息を付いた。
「そうだね。これは素敵な話だね」
艶然と頬笑み、アールマティは快活な態度で肯定した。




