その19
高い天井に備え付けられた見事な細工のシャンデリアに、学生寮とは思えない豪奢な調度品の数々、聖リュニヴェール学院の学生寮もなかなかのモノであったが、ここまで贅を極めてはいなかった。
「まあ、自慢じゃないが、うちの実家ほどじゃないよ。当然のように少数派だがね」
「そりゃそうだ」
リオンの自慢に対して、レクサールは呆れ気味に同意を寄せた。
「当然、意図はある。まずは逸材の確保。うちに来たらこれだけ優遇するという姿勢を見せる事で広く傑物を集めようとしているワケだ」
リオンはぐるりと当たりを見渡して、「規模が大きくなりすぎるとそれに比例して運営資金が増えない限り一人当たりに掛けられる額も相対的に少なくなる。逆に、少数精鋭と洒落込んで、人数を絞り込み、うちみたいなバックがある程度惜しげも無く金を出し、予算をガンガン注ぎ込めば同規模の並の学校では太刀打ちできないだろうな。聖リュニヴェールならばうちと並ぶかそれ以上の家門が多く連なっているだろうが、いかんせん生徒数が多すぎる。同じことをしようとすると、金が持たないだろうし、成績優良者のみに特権を与えた場合、一般生徒との格差は開きすぎて今度は逆に不満が溜まろう。まあ、うちみたいな経営方針でしかやれない事だな」と、笑い飛ばした。
「まあ、優遇もある程度ならば納得もいくだろうが、露骨に差を付けすぎたら流石に反感が募るだろうな」
レクサールは前の学院のことを思い出し、深々と頷いた。
「だったら、全員にある程度の優遇を最初から与えてしまえば良い。それが出来ないなら、最初からやらないか、その特権を受け取って当然という境遇の者にのみ与えるようにする。いらん事をして、不満や不平を無駄に貯めることはないからな。そこら辺の妙な考えをさせない為というのが二つ目の理由だ」
リオンは事も無げに言ってのけた。




