その17
「……荷物? 届いたモノならば、先輩達が空き部屋に持って行っていたじゃないですか?」
不思議そうな表情を浮かべてクーロンはリオンを見返した。
「いや、アンヌちゃんが校門前で彼の手荷物預かってこっちに向かった筈なんだがね。アールマティ女史と一緒に」
一抹の不安とともに、リオンは校門前での出来事を留守番役のクーロンに説明する。「もしかしなくても……未だに返ってきていませんか、あの二人?」
「先輩? 事、女性に関して俺様が見過ごすと思いましてか?」
妙に自信満々な態度でクーロンは啖呵を切った。
「ですよねー。ははは、あの二人はどこまで行ったんだよ……」
思わず天を仰ぎ、リオンは脱力して地面に手を付いた。
「……とりあえず、来客用スリッパ用意します」
状況を把握した闇飛は玄関脇にある管理人室に駆け込んだ。
暫くして、スリッパを手にして闇飛が飛び出してきた。
人間には到底到達不可能な速度で一気にレクサールの元に駆け寄る。
「お待たせしました」
熟練の草履取りも斯くやと言った具合に闇飛はスリッパを最高の位置に差し出した。
「ありがとう」
余りの早業にちっとも待たされた気がしないレクサールは何とも言えない表情の儘、礼を言った。
「先輩、誰が部屋まで案内するんですか?」
敢えてその表情を無視し、闇飛はリオンの方を見て尋ねた。
いつの間にかロビーのソファーに身体を沈め込んでいたリオンは、
「ん~、俺の部屋の傍だから、俺が案内するわ。あと、歓迎会はもう始められるのかい?」
と、暫く考えてから答えた後、視線をクーロンに向けながら尋ねる。




