その15
「とりあえず、君に割り当てられる予定の下駄箱はこちらだ。付いてきてくれ。それから、闇飛君は、そろそろ復活するクーロン君を適度に落ち着けさせといてくれ。今のテンションは……その、流石の俺でも疲れる……」
何とか立て直したリオンはレクサールに合図を送りながら、闇飛にそう命じた。
レクサールがリオンに着いていくや否や、
「酷いよ、闇飛君。いきなり状態異常は無いよ。あんな情けないポーズじゃ、俺様の魅力がちっとも伝わらなかったよ!」
と、石化から回復したクーロンが訳の分からない理由で親友に詰め寄っていた。
「黙れ。そして、落ち着け。転校初日の先輩に迷惑掛けるな。私たちの負担を増やすな」
冷静に闇飛はクーロンに対して苦言を呈した。
そこから侃々諤々の互いに譲ることのない口喧嘩を始めた二人を見て、レクサールは困惑する。
「あの二人はあれで親友同士だからな。あの程度はじゃれ合いさ」
肩を竦めながら笑い、リオンはレクサールにそう言った。
「随分と過激な友情だな」
今日出会った中でも飛びっ切りの濃さを誇る神と一番まともな人外種族の掛け合いを聞きながら、レクサールは正直な感想を言った。
「まあ、二人とも本気でやり合えば、寮が無事じゃないしな。そこら中に隠れ場所がある闇飛君に、ここら一帯を焼き尽くすだけの術を有するクーロン君が我を忘れて喧嘩したら俺やあっちゃんが介入しないとまず千日手で焼け野原だけが残るだろうな」
なんやかんやで楽しそうな後輩二人を横目で見ながら、至極冷静な口調でリオンは戦力を分析した。
「何ともまあ……先が楽しみな一回生達だな」
その風景をすんなり想像出来たのか、レクサールは一瞬気が遠くなった。




