その13
「魔術を司る神」
何とも形容のし難い表現を聞き、レクサールは理解に苦しんだ。
魔術とは即ち魔力を用いる術であり、神とは対極に位置するものに当たる。
混沌由来の魔力を秩序陣営たる神が扱うという時点で意味が分からなかったが、混沌由来のものを司るともなれば天地を引っ繰り返したかのような衝撃を受けるしかなかった。
「あ、そんな難しい話じゃないですよ? 要するに、人類種の中にはおまじないを神頼みする人だっているじゃないですか。アレって魔術由来のモノもありますから、神頼みされる以上は加護を与える必要がありましてね? そうなると、混沌が力源だろうと神として何とかしないといけないワケでして。まあ、一種のお役所仕事みたいなモノですなあ」
からからと笑いながら、クーロンはレクサールに理屈のあらましを説明した。
「あー、お役所仕事、ね。何となく理解したわ」
その説明にレクサールはいとも簡単にあっさりと納得する。
「何故に納得するし?!」
自分で然う説明しておきながら、それで納得されたのが理解出来なかったのか、クーロンは驚いた。
「君は何を云っているんだ、クーロン君。聖リュニヴェール学院からの転入生だと前もって教えておいただろうが」
リオンは思わず深々と溜息を付く。「場合によっては、君より神族というモノに理解が深いかも知れないのだぞ? 何せ、あっちには多種多様な権能を有する数多の神族が在籍していたのだからな」
「……云われてみれば、そうですな、先輩」
納得したとばかりに深々とクーロンは頷いて見せた。
リオンの言い分はもっともであり、その特殊性故に他の神族との繋がりが薄かった実家をクーロンは思い起こしたのである。




