その12
「やだなー、先輩。そんなに誉めないで下さいよ~」
明らかに皮肉交じりの紹介を受けた筈なのに、怖ろしく上機嫌な調子でクーロンは本気で照れる。
「断じて誉めてなどいないから。俺にこう云わせる君が冗談抜きで空恐ろしいから」
リオンは苦々しい表情を浮かべる。「魔王の俺がなんでこんな思いをせんとならんワケだ。不条理すぎる。……ん? レクサール、さっきから黙り込んで何かあったかい?」
クーロンを見てからずっと黙り込んでいたレクサールに不審を抱き、リオンは首を傾げた。
だが、レクサールはそれどころではなかった。
「……なんで、神族なのに魔力を放っているんだ……?」
あり得ぬ現象を目の当たりにして、理解に苦しみレクサールは絶句していたのだ。
「……ほぅ」
興味深そうにリオンの目が爛々と輝いた。
「一見で俺様の力を見抜くとは、これは凄い逸材ですね、先輩」
如何にも嬉しそうにクーロンははしゃいだ。
「もったい付けずに答えを云えば、クーロン君の実家は魔術と愛を司る家柄でね。唯一例外的に奇跡と魔術を使いこなす神族だ。まあ、魔王程ではないが、一門の中でも上位に立つ者は上位魔族すら敵わない腕前だ。彼はその中でも白眉と云われる天才、魔族の方が多いこの学園の中で俺に次ぐ腕前じゃないかな?」
先程までの嫌味っぽい口調から、打って変わって真面目な表情でリオンは論評する。
「いやあ、それ程でもないですがね」
吃驚するぐらい照れまくったクーロンはニコニコ笑いながら上機嫌に再び謙遜した。
「……まあ、今度のは本気で誉めているから良いんだが、どうにも調子が狂うな」
胡乱げな表情でリオンはクーロンを見据えた。




