その10
「……ん? 寮が今の形になったのって、もしかして?」
リオンの答えを聞き、はたとレクサールは気が付いた。
「その想像は当たっているだろうな。姉さん達の代に大改装をしてな。元々あった寮をこの場所に移設するに当たり、現世で有名な所謂訳あり物件を買い漁り、移設することで増築している。人類種にとって霊的に問題あったとしても、魔族にとっては居心地が良いモノや、神族にとって良質な信仰心を得る建築物である場合もある。神族や魔族にとって現世に滞在すると云う事は力を徐々に削り取られていくからね。少しでも回復しやすい環境を整えることもまた学校運営側に求められる能力なのさ。まあ、それに乗じて、和風支持者が寮の内装を大幅な改装してしまってね。そのまま今に至ると云うところだ」
長々と答えながら、下駄箱からスリッパを取り出し履き替えて、自分の外履きを代わりにリオンは入れていた。
「リオンの実家も和風なのか?」
手慣れた動きに疑問を覚え、レクサールは思い切って尋ねてみる。「なんと云うか……魔王のイメージに合わないというか……」
「まあ、その気分は分かるかな。ちなみに、本拠にある本城は流石にそうでもないが、うちの一家が住む私的なスペースは和風に改築してあったりするな。まあ、爺様は改築したのは良いモノの、殆ど首都の万魔殿で執務していたらしいがね。流石に、自分の私物ではないから、そこは改築できなかったらしいが」
どうでも良い豆知識とばかりに、リオンは軽々と実家の内情を語って聞かせた。
「城なのか」
レクサールは妙に感心する。「名家という感じがするな」
「腐っても魔界では一大勢力の一つなんでね。この街の郊外にあるこっちで暮らす為の館は外見だけそれっぽく作ってあるが、中身だけは純和風だね。今は姉さんがそこで暮らしている」
その儘、リオンはレクサールの前に戻ってくると、左右を見渡した。




