その9
「それなりに然ういう家からも入学者がいるんだな」
レクサールは目の前の魔王以外にも物持の家の出身者が通っているという事実に驚きを覚えた。
「おいおい。一応、リサ姉の実家とあっちゃんの実家もかなり有名な家だぞ? 武門に連なる家系なら、聖リュニヴェールよりも選択肢の上に来ることもあるぐらいだ。たいてい一学年に数人はいるものさ」
リオンは肩を竦めて笑い飛ばした。
「先輩の学年は例外中の例外ですがね」
影の中に居るのが飽きたのか、姿を現した闇飛は淡々とリオンに茶々を入れた。
「まあ、俺の学年は多いよな。その分、一つ上の学園は少ないが」
真面目な顔付きで少し考え込みながらリオンは言った。
「私の学年も少ないと云えば、少ないですね。……まあ、大体犯人はクーロン君じゃ無いかと思っているわけですが」
何とも言えない顔付きで闇飛は呟いた。
「……まあ、彼が入ると知っていて態々入れようとする親御さんは子供の性別を問わず少ないだろうしなあ」
やはり何とも言えない表情を浮かべ、リオンは到着した寮の正面玄関を眺める。「さて、それでは問題の人物と御対面していただくかね」
レクサールは妙に足取りの重いリオンと闇飛に付いて玄関に入った。
「ここも和風なのか」
玄関の上がり框を見てリオンはぽつりと呟いた。
「うちの爺様が鬼神を助けて以来和風に気触れてね。あっちゃんの家は云わずもがなの和風だ。二対一では流石にリサ姉も分が悪かったようだな」
下駄箱スペースへと足を進めながら、リオンはレクサールの疑問に答えた。




