その6
「闇飛君のはさっきみたいに影から影に移動するというヤツか? リオンのは?」
興味を引いたのか、レクサールは尋ね返した。
「闇飛君の移動方法は正確に云えば違うんだが、大体あっているから今は良いか。俺の方は面白味も何もない転移魔術だ。しんどいから非常時以外使う気は無いが、非常時に即座に使えるかと云えば、そうでもないから、結局覚えているだけ、ってところだなあ。一応学校側には届け出を出しているから、使用許可は下りているが……使い出が悪い術だよ、転移魔術」
何とも言えない表情を浮かべ、リオンは苦笑した。
「労力に見合わない術ですしね」
闇飛はリオンの台詞に同意する。「まあ、クーロン君ならそうでもないんでしょうけど、アレは例外ですよねえ」
「彼はなあ。俺じゃ真似できないし。魔術に関しては天才だよ、彼」
多少の悔しさを滲ませながら、リオンは褒め称えた。
「魔王にお墨付きを貰うんですから、よっぽどですよねえ、クーロン君。……後は性格がまともだったらなあ」
深々と溜息を付きながら、闇飛は親友をそう評価した。
「親友の君が云っちゃあいけない台詞だろ、それ」
闇飛の思わず出た台詞に対して、リオンは笑いながら突っ込みを入れた。
「ん~、親友と云えば先輩は会長にお礼を云うべきですよね、絶対」
敢えて反論せずに、闇飛はリオンに何故か助言した。
「とりあえず、内輪話はここまでにしよう、客人を飽きさせてはいけない」
都合が悪くなったのか、リオンは話題を変えながら、笑って誤魔化した。
「……道理ですけどね」
露骨な話題転換に対して闇飛は反論を封じられた。




