その4
「そうか、それもそうだな。そいつは残念だ」
すっかり忘れかけていたが、レクサールは立て続けに起きていた濃い面子との出会いを思い出し、リオンの助言を受け入れる。
「何、いざとなれば、図書委員長の特権使ってでも案内するから、夕食前の閉館時間直後辺りにずれ込んでも問題ない」
心底残念そうな表情を浮かべているレクサールに、リオンは力強く頷いた。
「なんかさらりととんでもないことを云われた気もするんだが……。まあ、好意は有り難く受け取らせて貰うが……図書委員長?」
聞き捨てならない単語を耳にして、レクサールは問い返す。
「ああ、今年から俺が図書委員会の委員長。通称、図書館棟の主」
自信満々な表情で、リオンは不敵に笑った。
「ああ、うん。然う云うところも、風紀委員に目を付けられる原因なんじゃないのかな? 校則知らないから、何とも云えないけど」
余りにも気軽に言ってのけるリオンに、重要施設を司る者が持つべき何かをちっとも感じられないレクサールは一抹の不安を感じた。
「大体あっています。図書委員長になったことも先輩が睨まれている要因の一つです」
闇飛は影の中から答える。「この学園、委員長の権限がかなり強い上、図書委員会は生徒会、風紀委員会、対抗戦対策委員会に並ぶ予算と権限を持っています。先輩は羽目を外す方なので、目を付けられるのは当然かと」
「失礼な。公私混同はしないし、別に予算を流用したり着服したりする必要なんか無いよ。金は余る程あるんだから」
余程不本意だったのか、今までにはない剣幕でリオンは抗議した。
「ええ、金持ちの暇つぶし程厄介な事は無いですからね。分かっているのだから、自重して下さい」
深々と溜息を付きながら、闇飛は忠言した。




