その2
「そりゃ、それだけ蔵書量が多ければ、手に取れるか分からないよなあ」
レクサールは図書館棟を見上げながらその蔵書量を想像し、感慨深げに溜息を付いた。
「いや、その蔵書に自分が必要とするモノがない可能性の方だが? あれば、絶対に手に取れる」
何を言っているんだと言った表情でリオンは首を傾げた。
「はっ?」
その反応を予測していなかったのか、レクサールは間抜けな表情でリオンを見返した。
「自分にとって必要とする書物だけを手にする事ができる特殊な結界が図書館内に張り巡らされている。強く意識して探せばその本が見つかるが、漠然と探していると永遠に見つからない。まあ、何も考えずに探すと、自分の特性に合った書物に辿り着くんだがね」
大したことはないとばかりに、リオンはレクサールに図書館棟の絡繰りを説明した。
「どういう事なの?! なんでそんな大がかりな仕掛けが……」
とんでもない仕掛けの存在を聞き、レクサールは魂消た。
リオンは悪戯っぽく笑みを浮かべ、
「それだけの価値がある、そう考えたんだろうさ。事実、うちの学園の名が知れ渡っている理由の一つとして、人材の質がある。高等部の頃から進むべき道が見えているのならば、それだけ有利だと云う事だよ。才能と意思の力さえあれば、一生お目にかかれない禁書にすら手が届くという環境はヒヨッコを大いに飛躍させる。それこそ、鵬に化ける程に、ね」
と、真剣な眼差しをレクサールに向けた。
「成程。その為に作ったのか。大きな売りだな」
リオンの説明を聞き、レクサールは一つ大きく頷いた。
「まあね。ただ、その所為でこの図書館棟を守る為の警備が厳しくなっているわけで、学生寮がここから均等に存在するのもいざとなればここの蔵書を守る為に生徒を犠牲にする事も厭わないって云う意志の表れでもあるんだがねえ」
さらりとリオンは爆弾発言を言ってのける。




