その29
「……成程。脳筋学校、ね」
幼馴染みが言っていた台詞をレクサールは思い返した。
「それに、彼女をここに誘ったのはリサ姉だ。あの女神が事、武に於いて、目利き違いをするわけ無いよ。それを一年目から知らしめたのは流石としか云い様が無いけどね」
リオンは我が事の様に自慢した。
「随分と褒め称えるのだな」
多少意外に思い、レクサールは首を傾げる。「敬意を表しているのは態度から分かるが、相手は神族だろう? 魔王が手放しで喜んで良いモノなのかい?」
「そりゃ、うちに入って結果を出してくれるのは我が事の様に嬉しいさ。生徒の名声は学園のモノ、学園の名声はその経営をする者に返ってくる。それが神族であれ、魔族であれ、プラスになることはあってもマイナスになることはない。確かに魔族や魔王である自分自身が活躍する方がより良いが……俺自体は活躍できないぐらい力制限されているからな……」
何とも言えない暗い口調で、最後の一言をぼそりと呟いた。
流石にレクサールもそれに対してフォローを掛ける事はできなかった。
「……先輩。クーロン君が手抜かり無く、全てを滞りなく進行させていました」
その時、まるで図ったかのように、悪くなった空気をばっさりと闇飛は切り裂いた。
「おや、意外と早かったね。女性絡みの案件ではないのに、驚きの事態だな」
それまで浮かべていたくらい顔とは打って変わり、驚きの表情を浮かべながら、リオンはそう言った。
「お祭り好きの血が騒いだだけかと」
顔色一つ変えずに、淡々と闇飛は答えた。




