その28
「あ、彼女がそうなのか。一年で優勝した強者が居るという噂は聞いていたけど、実物を見るとは思わなんだ」
レクサールは素直に感心した。
「学内でも、剣術だけなら最強だろうね。総合力になると、あっちゃんの方が上だろうけど。まあ、これは出身種族の問題もあるからね」
リオンは如何ともしがたいとばかりに溜息を付いた。
「何か問題でもある種族なのかい?」
「いや、問題は無いよ。ただ、彼女、主神の一角でもある豊穣神の一人娘でね。明らかに剣術は特性上向いていない筈なんだよねえ」
リオンはしみじみと言う。「好きこそ物の上手なれ。頭が下がるよ」
「確かに、豊穣神は攻撃的な意志を持つタイプじゃないよなあ。逆を云えばよくもまあ、そんなお嬢様が剣術やっている事を認めているね?」
レクサールは中半呆れながらも感嘆しながら当然の疑問を持った。
「いや、当然反対されているから、うちみたいな新参校に入るしかなかったんだよ。学生時代なんて、所詮はお遊びとも取れるからねえ。娘にやりたい様にやらせて、現実を思い知らせてから家の思い通りの生き方をさせようと思っていたんだろうけどね」
リオンは嘲笑った。
「……その態度からすると、そうならないと分かっていたのか、リオンは」
「そりゃあねえ。師匠が良ければ、あれだけの努力家が伸びないわけ無いさ。才能も豊穣神の出とは思えない程あるからな。流石に、うちの学園を見くびりすぎてる」
腹を抱えて笑いながら、リオンは言う。「元々主神に限りなく近い軍神の家系が、戦乙女を始めとする使徒や眷属を育てる為に創った学園だぞ? それにうちや、最強の鬼神の一門である明神が関わっているんだ。これだけお膳立てされてるんだ。本人にその気さえあれば成長しない筈がない」




