その26
「予測がついているだろうが、姉さん達の時代がうちの学園の黄金期だったわけだ。連戦連勝、少数精鋭で敵校を攻略し、防衛戦となったら何倍の敵だろうと叩き潰した。全国大会個人の部では常に表彰台を占領し続け、団体戦も圧勝。核となる三柱のバケモノが世界有数の精鋭の卵を率いているんだから当たり前と云えば当たり前。その上、明神、ヴァシュタール、ランヌのそれぞれの一門の当たり年だったものだから、聖リュニヴェール学院ですら姉さん達の在学中は一部門たりとも頂点に立つことができなかったという我が校の黄金時代。全ては勝ち抜くことだけを優先とし、敗北しかねない要素は全て捨て去った。即ち、交通の便すらも……」
大きな溜息を付き、リオンは頭を横に振る。「学園高等部の規模を考えれば正しく狂気の沙汰。全国大会ならば兎も角、対抗戦に全てを賭けるなど、蟷螂の斧と云えよう」
「その割りには、校舎は結構年代物の様だが?」
入る前に見た外見や、今歩いている廊下を軽く眺めてレクサールは首を傾げた。
「……態々、移したんだよ、本来あった場所から、この立地まで。金にあかせて、な」
悲痛な表情を浮かべ、リオンはぽつりと呟いた。
「うわぁ……」
思わず出た言葉の後、レクサールは絶句した。
「俺としては文句云えない立場だけど、積極的に人に明かしたい話じゃあない。真相知っているのは、当時の関係者とあっちゃんぐらいか」
「……口が滑らないよう、努力しよう」
リオンの台詞の言外に隠されている意図を悟ったレクサールはそう約束した。
「お願いする。面倒事が多い方が生きていくのに張りがあると云うワケでも無くてね。面白かったり、楽しかったりするなら兎も角、面倒事は、な」
大きな溜息を付きながら、リオンは天を仰いだ。
「それで、風向きが変わったとは?」
レクサールはリオンの心中を察して、話題を変えた。




