その25
中でも、対抗戦はその計画の中核を担う存在である。お互いの力を把握させる事でいざ戦力として組み込む際に相互理解から来る円滑な協力態勢を作る。友好関係を一朝一夕で作り出せないなら、その拭い難い対抗意識を逆に利用する、それが三界の上層部の出した代替案であった。
しかし、ただ競わせるだけでは、スポーツ交流の様な親交が増すだけのイベントになりかねなかった。そこで、対抗戦に勝った学校は相手校に対して一つだけ言う事を聞かせる権利を得るという分かり易い賞品を与えることとした。
現世に生きる者ならば兎も角、天界と魔界、それも対立した者同士が負けたとは言え相手の言い分を何でも聞かなければならない。これは相当に屈辱的なことであり、その為対抗戦が当初の予測よりも大いに盛り上がった。
むしろ、盛り上がりすぎた。
当初の目的から逸脱し、お互いが更に啀み合いかねない程に、である。
そこで、従来通りの対抗戦は高等部から、中等部までは交流戦と名前を変え、こちらはスポーツ的な交流を目的とした。
当然、この種の目的で作られた学校なら何処でも力を入れていると言えたが、対抗戦の為だけに校舎の縄張りを決める学校は然程多くはない。
むしろ、この規模の学校で対抗戦に力を入れているところは珍しいと言って良いだろう。
「対抗戦は俺達高等部生の華だからな。……まあ、さっきも云ったけど、うちの学園の場合は本気で勝ちを取りにいっていた年代の負の遺産とも云えるんだが……俺達の年代になってからまた風向きが変わってきたからなあ」
リオンは何かを思い出したのか、深々と溜息を付いた。
「どういうことだ?」
リオンの思わせぶりな態度に、レクサールは思わず首を傾げる。




