その23
「本調子ならな。現世で活動する為に、かなり力を制限されている今となっては、予め場所を魔術で印付けておかないと使えない。遣り方次第じゃ便利だが、万能って程じゃないな」
リオンは苦笑しながら肩を竦める。「御陰で学内から変に怖れられているがね」
「そりゃ、影のない場所など光の主神に連ならない限り創れないだろうからなあ」
レクサールは当然だとばかりに言って返した。
「その上、今年は闇飛君を良い様に使っているのがばれているので、何かを企んでいる連中から凄い牽制を受けていてねえ。闇を良い様に扱える魔王と、影に潜む者の組み合わせはやろうと思えば何でも調べられるからねえ。いやはや、困ったモノだ」
大したことはないとばかりに、リオンは肩を竦めて首を横に振って見せた。
「自分で云うなよ」
思わず吹き出しながらレクサールはリオンに突っ込みを入れた。
「ははは、全くだ。さて、そろそろ寮の方の準備ができている頃だろう。闇飛君、悪いが、一足先に確認に云って貰えるかね」
「御意」
影の中から声だけ返し、闇飛の気配はそのまま消えた。
「ま、こんな風に便利に使っているからそう思われるんだろうが、そこまで万能じゃないんだがな。とりあえず、寮に戻りがてら、軽く案内するか」
レクサールを促し、リオンは歩き始める。
「この校舎は高等部のものの様だが、他の年代の校舎は何処になるんだい?」
レクサールは今日見てきた施設と来た道を思い出しながら、リオンに訊く。「流石にここも大きい校舎だが、どう見ても高等部の生徒だけで埋まりそうだ」
「敷地からして違うねえ。高等部だけが隔離されているのさ」
リオンはレクサールが知らない呪文を素早く唱えると、宙に絵図面を浮かび上がらせた。




