その22
「故に、ヴァシュタール先輩は自制されてます。楽しい学生生活を送るための努力を常に怠っていません。あの方にとって、今が──」
「おっと、闇飛君。それ以上のネタバレは今はいけない」
息を切らせながら、リオンは登場するなり闇飛の台詞にかぶせるかの様に警告を発した。
闇飛は何も言わずに一礼すると、そのまま影に融け込んだ。
「全く、闇飛君も過保護なものだ。別に俺の為に予防線を張らずとも良いんだがなあ」
苦笑しながらも、自らの影を優しい目で見た。
「ある意味で有り難かったよ。実に分かり易い、含蓄のある話しだった」
レクサールは素直な感想を口にした。
「そうかい? まあ、魔族の知り合いが今までいなかったんだから、そうかも知れないね。主神級の例え話で理解出来た辺りが流石は聖リュニヴェール学院に通っていただけあると思ったが」
リオンの言葉に一瞬苦い表情を浮かべたレクサールだったが、
「何だ、盗み聞きしていたのか?」
と、状況を理解した。
「あー、そうじゃないんだ。さっきも云った通り、うちの一門の固有能力は闇絡みだろう? 俺は自分が把握できる闇さえあれば、その場所の状況は魔術を併用することで筒抜けにする事が出来るんだ。結果的に、君からしてみればそう見えるかも知れないが、闇飛君は最初から俺に話が筒抜けなのを理解してあんな話をしていたんだよ。前もって、それが出来る事を云っていなかった事は詫びるがね」
リオンはそのまま頭を下げた。
「……なあ、それってかなりとんでもない能力じゃないか?」
レクサールは思わずげんなりとした。




