その21
「魔王とは魔族の中の魔族、リオンはその中でもある意味で別格、然ういう事かい?」
レクサールの言に闇飛は黙って頷いて見せた。
成程、と心中でレクサールは頷いた。
魔族の知り合いはいなかったために、魔族的という資質を噂以上には知ることはなかったが、リオンに関しては違う。
会ってまだ数時間も経ってはいないとは言え、何度も自分に態々不利になる様な警告をしているのだ。魔族を信じてはならない、特に魔王は、と。
そんな忠告を言わなければ、レクサールはリオン個人を信じ切っていただろう。リオンにはそれだけの魅力がある。
レクサールが心中で考えを纏め終わるのを見計らっていたのか、
「これは聞いた話ですが、ヴァシュタール先輩の本来の口調は一人称は僕で、相当丁寧な言葉遣いをしていたそうです。それこそ、物語に出てくる堕落に誘う悪魔の様に」
と、闇飛は追加の情報を言った。
「それを改める理由でもあったのか?」
別段問題ないことのような気がして、レクサールは首を傾げた。
「産まれながらの魔王でなければ、別に問題なかったでしょう。唯の魔族相手ならば、口を滑らせたところで今の世の中何とでもなります。しかしながら、魔王は別格中の別格。それこそ、人類種が主神級の神に自分の望みを教えることに等しい意味を持ちます」
「……それは、確かに……」
レクサールは問題の深刻さを漸く悟る。
前の学校に居た主神に連なる学友にひょんな事から自分の理想を語った人類種の一人が、それこそ昔話の“芋粥”の主人公宛らの結末を迎えた事件を知っていた。
神々と人類種の意識の違いは、今でも大きな隔たりがある事を思い知らされた事件だった。




