その15
「然ういう事。全知全能ならば、全てを知り、全てが為せなければならない。だったら、世界に創られた時点で全てを為せていないわけだ。全てを知っている可能性は否めないがね」
けらけらと笑いながら、リオンはざっと解析して見せた。
「神と魔王と人類の差は種族の違いによる能力差があるだけって話しか。夢があるんだか無いんだか」
レクサールはリオンの言わんとしていることを理解すると、思わず溜息を付いた。
「さてねえ。それは受け取る人に任せると致しましょう。だからこそ、うちの爺様が現状打破のための【大盟約】を提案したんだしなあ」
「……ん? 【大盟約】って、現状の天界魔界現世の共同戦線のことだよなあ? 提案したって事は、討死した皇帝ってもしかして……?」
ふと、祖父も父も討死したというリオンの台詞がレクサールの頭の中に過る。
「ああ。【大盟約】を提案したのも、その前身となった今では【大同盟】と呼ばれている世界初の神族魔族人類種による共同戦線を構築した皇帝ってのは俺の爺様に当たる方だな。当然、俺が産まれてくる前に亡くなられているからあったことはないが」
肩を竦めながら、リオンはレクサールの問いを肯定した。
「前々から不思議に思ってたんだが、なんで魔界の皇帝が【大盟約】を持ちかけたんだい? 普通は天界の主神が口火を切りそうなものだけど」
如何にも不思議そうにレクサールは言った。
「いつの世も面倒事は政治絡みだよ」
からからと笑いながら、リオンは言い切った。
「天界が動けない理由があった、と?」
レクサールは鋭い目付きでリオンを見た。




