その13
「割りと」
笑い返しもせずに、レクサールは真面目な表情のまま頷いた。
「……ふむ」
それを見て、リオンは少しばかり考える。「初見でなら仕方の無いことは意外と多いもんだよ? 何もかも完璧とは行かないさ。特に君が前通っていた学校を考えれば当然の事だしな。気にしすぎるのも逆に問題だ。分からないなら、分からないなりに失敗していけば良い。要は同じ失敗を二度繰り返さないこと。それが重要だ」
「……同じ失敗、ね」
苦い記憶を思い出したのか、暗い笑みを浮かべ、レクサールは自嘲した。
「ま、人間誰しも失敗しながら学んでいくってワケさ。この世に完璧などと云うモノはない。神にしろ、魔王にしろ、な」
剽げた口調で言いながら、リオンは再度全てを笑い飛ばした。
「そりゃそうか」
思わず自分の間抜けさ加減に気が付いてレクサールは苦笑した。
「全知全能なんてありはしない。あるのならば、世界がこんな阿呆な事にはなっちゃいないさ。誰も彼もが踠き苦しんでいると云うのに、それを高みの見物で眺めているとは信じたくないもんだしな」
驚く程真剣な表情でリオンは言った。
「高みの見物をしているのが魔王だったら?」
それを見て、少し意地の悪い質問をレクサールは咄嗟にしてみた。
「正に、正に。それならば納得はできる。されど、残念ながらそんな楽しい魔王は現存しないんでね。していたら、面白かったんだけどねえ。残念ながら、この世界の魔王は全知全能にはなれないんだ」
いかにも残念そうにリオンは嘆じて見せた。




