その9
「まあ、それだけでは何ともならなかったんだが、色々とこっちに都合の良い風向きになってね。そうは云っても、中等部から通えるはずが高等部まで引き延ばされたんだから、何もかもがこっちの思い通りだったわけじゃないが。それでも、まあ……周りに恵まれたのは否定出来ないな」
「愛されているな」
思ったままにレクサールは感想を言った。
「……多分、ね」
幾分か照れた様子でリオンは肩を竦めて見せた。
「今の話から考えると、今でも対抗戦に力を入れているのかい?」
ふと、思いついたことをレクサールはリオンに訊く。「姉がそこまでやったのならば、弟もやれると期待される、という事だよな?」
「……それがねえ、酷い話でねえ」
リオンは思わず大きく溜息を付いた。
「何かあったん?」
予想していた反応とは思い切り違った為に、レクサールは首を傾げた。
「姉さんがやり過ぎた所為で、天界と現世から強いクレームがありまして。御陰で俺に掛けられる力の拘束がアホみたいに厳重になりまして! この年代の人間男子の平均程度まで力の出力が制限されて無双できないってオチなんだな、これが」
壊れたかの様な自嘲の笑いを飛ばしながら、リオンは言った。
「ああ、そうなんだ……」
何と声を掛けて良いのか分からず、レクサールは無難な相槌を打った。
「それでもね、去年の全国大会で善戦して、個人戦準々決勝で敗退したんですがね。その時の相手がとある主神の後継者でして。あっちは力の封印が俺に比べれば無いに等しい状態だったんですが、時間切れまで粘りましてね。こっちが本気出していないと思い込んで、試合終了後、控え室まで乱入してきてガチギレされたんですがね、事情話したら有り難いことに今度は魔界の元老院に抗議してくれまして。御陰で対抗戦絡みならばかなり力を振るえる様になりましたけどね。それでも、姉さんが受けていた拘束よりも強い拘束受けていましてねえ。本気で俺を守る気があるのか、無いのか……」
中半愚痴る様にリオンは一息で説明する。




