その7
「そこら辺神族の方が鷹揚でねえ。人類種から信仰を力として伊達に受け取ってはいないと云うところか。故に、対抗戦絡みの学校組織で魔界の方がやや後れをとっているのは、自分たちで共闘を提案しておきながら、他界を信じ切れないって云うのが理由だろうな。……まあ、提案した皇帝が大盟約前の大戦で討死しているのも響いているんだけどねえ。そんなこんなが積もり積もって、魔王を余程のことが無い限り魔界から出したがらない連中が上層部を占めていてね。姉さんも危うく素敵な学生生活を送れないところだったのさ」
リオンは莫迦莫迦しいとばかりに肩を竦めて見せた。
「……姉さん、も?」
リオンの言い回しにレクサールは疑問を覚える。
「ああ、俺は本来ならこの学園に入学できなかったはずだったんでね。親父様が生きていたら話は別だったんだが、爺さんと同じく戦死したからなあ。ま、今の時代には良くある話だ。それは重要な話じゃない」
リオンはさらりと重い話を流す。「話を戻すと元老院で許可が下りないと知ったあっちゃんの姉上が、自分の家に働きかけて正論を吐いたのさ。“魔王が逃げるのか?”とね。いやはや、効果は覿面だった。対抗戦というモノが存在する以上、現世の学校に通わないという事は、それから逃げると云う事になる。特に産まれながらの魔王であるならば、天界で云う主神の家に生まれた子供と同義。主神の子供達は交流戦でも対抗戦でも大活躍しているのに、魔界の、それも既に主神と同格とされる称号持ちの魔王がその流れに参加しないという政治的な意味合いを考えれば、許されることではない。その上、うちの家門はこの流れを作り出した皇帝の直系だ。姉弟の内、少なくとも片方は参加させなければ名義が成り立たない。それも、神族に連なる中で唯一こちらの肩を持つ鬼神の一門から指摘された以上、知らぬ顔もできぬ。あっと云う間に形勢逆転、姉と弟ならば、女である姉の方が仮に負けたとしてもダメージは少ない。実力主義とは云え、ほぼ同格ならば男の方を本流と見なすのは魔界でも良くある話でね。姉さんを現世の学校に通わせる代わりに、俺は魔界で英才教育という名の幽閉をする事に決めたってワケだ」




