その5
「今の内に慣れておくんだね。あの二人も授業を持っているから、嫌でも顔を合わせることになる」
リオンは至極真面目腐った物言いでそう言った。
「あの調子で力垂れ流しながら授業を講義するのかい?」
驚きの声を上げながら、レクサールはリオンを見た。
「流石にそれはないかな。力を抑え付ける為に、ある程度の封印具を身に付けて生徒の前に姿を現すよ。まあ、それでも一部の連中は緊張して眠れないレベルらしいけどねえ」
リオンはくすくすと笑った。
「直に受けるよりはマシ程度、か。よくもまあ、三年間もそれを耐え続けられるなあ」
近い未来を想像してか、レクサールはどんよりとした表情を浮かべた。
「何、卒業したら、それより酷い事態が待っているんだから、良い訓練さ。あれぐらいなら、平常心を保てる程度にならないとねえ。ま、俺が云っても説得力無いけど」
明らかに他人事とばかりに、無責任な言い様をレクサールは気にもせずに言い放った。
「……ああ、君も魔王だったな。こうも立て続けに濃い事件が連続しているから、すっかり忘れそうになっていた」
レクサールは事実を思い起こし、妙に納得する。「要するに、俺がげんなりしている未来絵図に関して云えば、君には全く以て影響がないって事かい」
「平たく云えばそうなるかな。なにせ、姉さんにしろリサ姉にしろ産まれた頃からの付き合いだからねえ。あの女性達から俺が受ける怖いという感情と、他の連中が受ける怖いという感情にはとても大きな差があるだろうねえ。然う云う意味では、あっちゃんもそうだろうけど」
くすくすと笑いながら、リオンは肩を竦めて見せた。
「さっきから気になっていたが、明神会長とも幼馴染みなのかい?」
校門前での遣り取りを思い出しながら、レクサールはリオンに尋ねた。




