その4
「それが良いと思うわ。こんな荒唐無稽な話を信じる者がいるとは思わないけれど、勘違いされるのも鬱陶しいものねえ」
同情の念を隠さず、リサは溜息を付いた。
「そこら辺は私たちが上手く片付けて置いてあげるわ。今日はご苦労様。明日から頑張りなさいな」
イシュタルは事務的な対応で面会の終わりを告げた。
「はい、それでは失礼致します」
再度深々とお辞儀をし、レクサールは部屋を出ようとする。
「ああ、そうそう」
とってつけたかの様に、「何か問題が起こりそうなら生徒会長の明神暁生か、弟のリオンに相談しなさいな。あの二人は大体のあらましを知っているから気兼ねなく相談しても問題ないわよ」と、イシュタルは言った。
(然ういう重要な情報は別れ際のどさくさに教えるのは辞めて欲しいものだなあ)
心の中で正直な感想を思い浮かべながらも、顔には出さない努力をし、何事もなかったかの様に一礼して部屋を出た。
「どうだった?」
にやにや笑いながら、外で待ち受けていたリオンが早速声を掛けてきた。
「あんなおっかない方々が世の中に居るとよく分かった」
神妙な顔付きでレクサールは即答する。「日常から神威と魔力を垂れ流すってどんだけ力有り余っているんだよ」
「所謂主神級と称号持ちの魔王だからねえ。そりゃおっかないさ」
先導する為に先を歩きながら、リオンは言う。
「成程。良い勉強になったよ」
力なく笑いながら、レクサールは溜息を付いた。




