その2
「そんな事云うなら、神威をもう少し内に秘めてあげなさい。並の人間ならそれだけで気を失うわよ」
呆れた声で窓際からどことなくリオンに似た魔族の女性が言った。
「然ういうイシュタルこそ、指向性のある魔力を態と叩き付けるのを止めてあげたら? 新人虐めのお局様みたいよ?」
艶然と笑いながら、女神はそう返した。
「あら、リオンの傍に暫く居たのなら、私の魔力ぐらい受け流せるわよ。むしろ、貴女の神威の方が厄介だと思うけど?」
和やかなれど、身の毛がよだつ莫大な魔力を発し、イシュタルは女神を挑発した。
「そんな強い魔力を今日まで経験したことのなさそうな子を相手に手加減無しで試す方が酷いと思うわ」
自分をそっちのけで口論を始めそうな二人に対して、
(……せめて俺の用件が終わってから始めて欲しい)
と、レクサールは心底思っていた。
「……あら、修羅場になりかけているのに、何事もなかったかの様に控えてられるのは期待大ね」
ちらりとレクサールを見て、イシュタルは妙に感心する。「リオンが一押しするわけだわ。リサ、不器用なのは知っているから、神威をもう少し抑えてあげなさいな。流石に息苦しいのは可哀相よ?」
その言の直後、少なくとも刺す様な魔力をレクサールは感じなくなった。
「それができれば苦労はしないわ。攻撃的な神威を抑えられない程、放ち続けるのもうちの家門の特長の一つですもの」
リサは溜息を付き、「この子を加護の対象にすれば、何とかなるかしら?」と、神威の質を変えて見る。




