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神と魔王と人類と  作者: 高橋太郎
プロローグ
4/723

その4

「何よ? (いや)に自信満々(まんまん)ね?」

 不機嫌(ふきげん)(かく)そうともせずに、イシュタルはリオンを見る。

「そこら辺がリオンちゃんが(こだわ)っているところでしょうけど、イシュタルちゃんの云う事も一理(いちり)以上あるのよ?」

 険悪(けんあく)な場になる前に、リサは二人を取りなそうと一般論(いっぱんろん)展開(てんかい)しようとした。

 その気遣(きづか)いを知ってか知らずか、

「まあまあ。それではこちらの調査書(ちょうさしょ)御覧(ごらん)いただきましょう」

 と、飄々(ひょうひょう)とした態度(たいど)(まま)、リオンは(ふところ)から折り込まれた書類を取り出し、二人の前に置く。

「最初から全部の資料(しりょう)提出(ていしゅつ)するようにと云ったわよね、私?」

 ドスを()かせた声で、イシュタルは弟を(にら)み付ける。

「提出していましたとも。これは俺の予想(よそう)が正しいかどうかを調べる(ため)の追加の調査の報告書でしてね。姉さん方に呼ばれる直前に届いたんですよ。悪気(わるぎ)や何らかの意図(いと)があって提出していなかったわけじゃありません」

 (わる)びれるところ一つ無く、リオンはいけしゃあしゃあと言い(はな)った。

「……まあ、良いわ。それでこそ魔王というものですしね」

 溜息(ためいき)を一つ付いた後、イシュタルは弟の悪戯(いたずら)黙認(もくにん)する事にし、追加(ついか)で提出された書類へと目を落とす。「……これは……」

「ね、面白(おもしろ)いでしょう? 流石(さすが)に当たりを引けるとは思っていませんでしたけど、大当たりでしたよ。なんで、連中(れんちゅう)はこんな奇貨(きか)放出(ほうしゅつ)したんですかね?」

 姉の表情(ひょうじょう)から我が意が伝わったと感じたリオンは笑いかけた。

「これを知っていて何か仕掛(しか)けたの?」

 不審(ふしん)そうな眼差(まなざ)しでイシュタルはリオンに問いかける。

「まさか。流石(さすが)の俺でもそこまでは知りませんよ。ただ、あの名門校から不祥事(ふしょうじ)による退学者が出たという事件は興味(きょうみ)(ぶか)かったので、それを調べさせたら浮かび上がってきた事もあった、それだけですよ」

 にこにこと笑いながら、リオンは言った。

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