その26
「なんか、深刻になって、ごめんなさい」
いたたまれない気持ちでアールマティはまたも頭を下げる。
「……もう良いですわ。アンヌを喜ばせたい気持ちは痛い程分かりますし、私の性格は私が一番知っていますから。ですが、委員長? 転校生が来るという前情報ぐらいは与えて貰っても良いと思いますわ。別に誰が来るとまで分からなければ、話しようがありませんもの」
諦観の念を強く滲ませながら、サン・シールはアールマティに愚痴った。
「でも、この時期に転校生の話をしたら、アンヌは気が付くと思うんだけど?」
アールマティは実に常識的な判断を言った。
次の瞬間、最初からその場にいた全員がぴたりと時が止まったかの様に動きを止めた。
「あれ、どうしたの、みんな?」
何が起きたのかさっぱり分からず、アールマティは慌てて左右を見渡す。
「……誠に申し上げにくいのですが……」
それまで黙っていたレクサールは口を開く。「我が幼馴染み殿は俺が転校してくるなんて事を一切考慮していなかった御様子なのですが……?」
「……嘘?!」
驚きに溢れた表情で、アールマティはアンヌを見た。
「だって、うちの学校にレッ君が来るわけないじゃない。脳筋学校だよ?」
あっけらかんとした表情でアンヌはそう言い放った。
「うわー、ぐさぐさくるわー」
今度はリオンが頭を抱える。「うちの郎党で優秀な頭脳を持った連中をもっと連れてくるべきだったかねえ?」
「一門衆が脳筋集団で悪いな」
溜息を付きながら、暁生は謝罪した。




