その22
「どうして貴方がそこまで慌てるんですの?」
余りの慌てぶりに、リオンのことをどうでも良いと思っていそうなサン・シールですら首を傾げた。
「……ぶっちゃければ、暴走した君達を止められるの彼女だけじゃ無いですか。この場の収拾、アールマティ女史が来てくれないとどう考えても……」
額に手を当てながら、この世の終わりとばかりにリオンは首を左右に振った。
「一理あるな。仕方ない、呼んでくるか。何時までも転入生を盥回し校門前でほったらかしにするのもどうかと思うしなあ」
深々と溜息を付いてから、暁生は校舎の方へと身体を向ける。「……ふむ、噂をすれば影、とでも云う事かな?」
その場にいた一同が暁生の台詞を聞いて校舎の方を見ると、こちらに向かって走り込んでくる人影を見つけた。
即座に周りにいる戦乙女達は直立不動の姿勢を取り、サン・シールとアンヌもまたそれに続く。
「……どなた?」
小声でレクサールはリオンに尋ねる。
「待ち人、ですよ」
悲嘆に曇らせていた表情を一転、にこりと笑いながらリオンは自分の影をちらりと見てから言った。
その視線に釣られてレクサールはリオンの影を見る。すると、先程までは消えていた何らかの気配が中に戻ってきている様な気がした。
「みんな、申し訳ない!」
澄んだ良く通る声で開口一番謝罪し、その女性はすらりとした長身を縮ませながらポニーテールを揺らし、勢いよく頭を下げた。




