その21
「明神会長は兎も角、貴方の云う事は信用なりませんわ、リオン・ヴァシュタール」
条件反射としか言い様の無い速さで、サン・シールも答える。
「む、逆効果だったか」
「いい加減にお前は学べ」
何とも言えない表情を浮かべている親友に肩を竦めながら暁生は苦笑する。「説得が手詰まりだな。それで、手は打っているのだろう?」
「そのはず、何ですがねえ?」
暁生の質問に小声で答えながら、リオンは自分の影を気にした。
「何を男同士でぶつぶつと内緒話をしているんですの? これだから、リオン・ヴァシュタールは信用出来ない」
胡散臭いとばかりにサン・シールはばっさりと言下に切って捨てた。
「さっきから名指しで俺を全否定してくる女子がいるんですけど、新手の虐めですよね?」
「お前さん相手ならば無罪であろうな。日頃の行いが悪すぎる」
淡々と親友の言を却下し、暁生は真顔で言った。
「四面楚歌とはこのことか」
思わず天を仰ぎ、リオンは嘆じた。
「大仰に云う事か。それは兎も角、なんでネイさんがここに来たのかを聞いていなかったな」
「ん? 委員長がヴェパールちゃんの帰りが遅いから見に行って下さいって云ってたんだよ?」
暁生の質問にアンヌは首を傾げてみせる。「……あー、然う云えば、ちっとも報告していないから、アールマティちゃん心配しているだろうな~」
「おいィ? 流石にそれはどうかと思うんですけどね?!」
何故か慌てた調子でリオンは突っ込みを入れた。




