その19
「転校してくるとは聞いていませんわ!」
「あたしも聞いていなかったよ?」
憤慨する親友に対してアンヌは同意した。
「俺はてっきり知っているモノかと思っていたけどな? お前経由でここの入学手続きしたわけだし」
恨みがましい目で見る幼馴染みにレクサールは首を傾げる。「そのお前が知らないってどういうことだよ」
「え? 学園長先生が行き場が無くて困っている様ならうちの願書を送ってあげなさい、っていってくれたから試しに送ってみただけだよ? レッ君なら、優秀だから他の学校に行くものかと思っていたし」
何を言っているんだと言ったばかりの表情を浮かべ、アンヌはレクサールを不思議なモノを見る様な瞳で見詰めた。
「ちょっと待て。お前は何の考えも無くここの願書を送ってきただけなのか? 実際に俺が選ぶとはちっとも考えていなかったのか?」
流石の言い様に、レクサールは愕然とした。
「だって、うちの学校、レッ君みたいに筆記が得意なタイプ向きじゃないもの。どちらかというと、脳筋学校だよ?」
あっけらかんとした表情でアンヌは笑い飛ばした。
「いやね、ネイさん。もう少しオブラートに包んで云ってくれないかな。これでも経営側の一族なんですけどね、私もこの莫迦も」
暁生は困り顔のまま辟易した。
「まあ、概ねその通りだからねえ。文句の付けようが無いなあ」
莫迦扱いされたリオンの方は肩を竦めて苦笑した。
「お奨め出来ないならなんで俺に書類送りつけたんだよ?」
釈然としない表情を浮かべ、レクサールは幼馴染みを問い詰めた。




