その15
「莫迦にしないでくださらない? 全校生徒の顔を覚えているのは、何もあなただけの専売特許じゃありません事よ?」
美貌を険のある目付きで曇らせながら、サン・シールは静かな怒気を放つ。
「そりゃそうだろ。少なくとも、あっちゃんやアールマティ女史も覚えていることは確認しているさ。だが、今は然ういう事では無くてな?」
聞く耳持たないサン・シールを宥めながら、リオンは突破口を開こうと兎に角宥め続ける。
「黙らっしゃい! 自慢ではありませんが、貴方の甘言に乗って騙されなかったことは一度たりともないのですからね!」
サン・シールはリオンを一喝した。
「……え、本当に? 確かに魔族としてそれはどうかと思うけど、アレ? 俺、毎回騙していましたっけ?」
額に冷や汗を流しながら、リオンは冗談抜きで焦り始めた。
「一度も」
「嘘偽り全く無しで?」
「一度も」
その遣り取りを聞きながら、周りの戦女神達は思わず苦笑していた。
それらの反応を見て、レクサールはリオンがどういう風に周りから見られているのかをはっきりと認識した。
「た……」
「た?」
「助けてえええええええ、あっちゃあああああんっ!!」
「叫びたいのは私の方ですわッ!!」
突如二進も三進もいかなくなって叫びだしたリオンにサン・シールは激怒した。
「……何時もこんな感じなので?」
どうにも話が進まないので仕方なくレクサールは周りの戦乙女達に尋ねる。




