その14
お互いに馬鹿話をしている内に、校門前に立っている人影が誰なのかはっきりと分かる距離まで辿り着いていた。
レクサールは門の前でこちらの様子を探っている人影をざっと眺め、少しばかり驚嘆した。
「手練揃いだ」
その場に居るだけで気圧されるぐらいの神威を発する戦乙女達にレクサールは感嘆の念を隠せなかった。
「まあ、リサ姉は主神に限りなく近い戦女神の一門筆頭だからなあ。そりゃ、眷属や使徒もレベル高いわな」
そんな軽い驚きの声を上げたレクサールに、リオンは冷静に返す。「元々、リサ姉の家が現世の学校を買い取って始めた学園だからねえ。武闘派は割と優秀でね。元女子校という事を除けば、武門にとっては良い学校だと思うけどね」
その場でレクサールを制して、リオンは前に進み出ると緊張を漂わせている風紀委員の方に歩み寄る。
無言で構えようとする面々に、
「やあ、どうも、どうも」
と、今この場で似つかわしくない軽い調子でリオンは声を掛けた。
「……リオン・ヴァシュタール。あなた、一体何を考えていますの?」
戦乙女の集団の中で唯一柱だけ強い魔力を発している明らかに外見からして魔族と分かる女性が何か強い感情を押し殺した感じで一歩前に出た。
「何を、ですか? 随分と哲学的な質問ですねえ、サン・シールちゃん」
発音のニュアンスを変えるだけで挑発的な台詞になりかねない言葉を、深刻な表情を浮かべて真面目な口調でリオンは言った。
「巫山戯ないで! 今、どういう状況か分かって余所者を敷地に近づけているんですの?」
「困った事に真面目なんですよね、割と」
激昂するサン・シール相手に、リオンは困惑する。「それに、彼は余所者じゃないんですよ?」




