その12
「イメージ戦略は重要です。ま、はったりが効きやすくなるからね」
かんらからと笑い、リオンは校門の方を仰ぎ見る。「……チッ、こっちに気が付いているから次に移動する気は無いか。サン・シールちゃんも嫌らしいことをする。まあ、これ以上の時間稼ぎはあっちに変な気を起こさせるかも知れないから諦めるか。手は打ってあるんだ、何とかなるだろう、多分」
最後の方は口の中で小さく呟いていた所為でレクサールははっきりと聞き取れなかったが、何となく愚痴っている感じがしたので気を利かせて話題を変える事とした。
「それにしてもよく見えるな。俺はまだ校門辺りに人が居ることぐらいしか見えないけど」
「そりゃ、腐っても魔族ですからね。人類種よりは肉体能力は上さ。……と、云いたいところだが、この眼鏡が魔法の品だからと云うのが答えかな。こっちに来るに当たって、肉体能力は人間並みに調整されているからねえ。ちなみに、サン・シールちゃんの方は自前の能力でこっちを把握している。風紀委員会は魔術の使用を治安維持に関してのみ普段から限定的に許可されているからねえ。俺みたいな裏技じゃないから厄介だな」
飄々とした顔付きでリオンはその話題転換に乗っかって言った。
「魔法の品はグレーゾーンか」
リオンの発言からレクサールは学園の校則を察した。
「学園に登録しているモノを違法に使わない限り許可される。この眼鏡は登録されているから校則違反では無いが、校則で許されている魔法の品の格を実際のところはオーバーしているからなあ。俺が問題なく使えるのがこの格しか無いとは云え、例外ってヤツは余り好ましくないモンだからな、風紀上。ま、分かっちゃいるが、どうにもならないから目こぼしして貰っているってところだ。そりゃ、目を付けられるか」
再びかんらからと笑い、リオンは先導を再開する。「さて、のんびりと行こうか。ま、風紀委員の顔を覚えるのは先々、損な話じゃないしな。俺のとばっちりを食うのは申し訳ないが、俺を案内人に指名した学園長に文句を云ってくれ」




