その11
「すると、さっきから話題になっている副長さんの御家庭の問題点は……」
今までの説明から導き出せる答えをレクサールは言う。「魔王に似つかわしくない何かを常に有し続けている、という事なのかな?」
「察しの通り、何かしらが足りていないから魔王になれない。ここ数代続けて、な。それでも有力候補を毎回育て上げている点が有望と思われて、魔界でも名の知れた家の血が傍流とはいえかなり入っているから、素質は間違いなくある。素質は」
レクサールの言を肯定し、リオンは肩を竦めながら頬笑んでみせる。
「やっぱり血は大事なのか」
知りたくも無い真理を知らされたとばかり、レクサールはつまらなそうに吐き捨てる。
「そりゃあねえ。天界みたいに家で職が固定されていないとはいえ、三界共通で能力、資質は先祖代々伝わってきているモノだからなあ。名門は名門と言われるだけの何かを持っているのは間違いない。ただ、突然変異は有り得るし、その種のタイプが生きていくには天界はやりにくく、魔界は融通が利きすぎる。次の代にその力が伝わる可能性は然程高くないからな。それでも、魔界だとそんな連中から生まれた子供は期待が無駄に重いだろうな」
些か同情している風にリオンは虚ろな笑いを浮かべた。
「地道が一番という話なんだろうが、親は選べないからなあ」
微妙な笑みを浮かべ、レクサールは嘆じた。
「違いない。ちなみに、うちの一門に伝わる資質は大体、闇属性の何か、だな。物理的に呼び出したり、生命体の精神に属する闇を操るなど、割と多岐にわたっている。魔族としては有利な資質だが、どれが発現するかは運次第というのが泣けてくる」
大仰な仕草で戯けて見せながら、「まあ、恵まれている方だとは自覚しているがね」と、リオンはにやりと笑った。
「あー、確かに魔族のイメージとしてはオーソドックスな気がするな、それ」
今まで見てきた神族を脳内に思い浮かべながら、レクサールは闇を使いこなす魔族が想像しやすい事を深く納得していた。




