その10
「すると、称号を持っているモノが魔王になるのか?」
レクサールは思ったままに質問した。
「半分正解と云ったところか。魔族で称号を持っているモノは全て魔王だ。だが、魔王全てが称号を持っているわけでは無い」
そう云うと、そこら辺に落ちていた木の枝で地面に三角を描く。「この頂点にいるのが皇帝、有する称号は【真なる闇】、もしくは【地獄】だ。これは皇帝になった魔族次第でどちらを得るかは変わる。他の称号とは違い、この称号は同時に現れることは無いと云われている。皇帝は一柱、だからな。その下に四王、東西南北を司る魔王だ。古い考えの魔族だと、ここまでが魔王というモノもいる。この下からは貴族であり、魔王ではない、とな。先程、例に出した七つの大罪に関する存在が大公として王の下に君臨する。ここまでは確実に称号を有した魔王と云える。その下にいる公候伯子男の爵位を持つ──古の慣例に従い七二柱の上位貴族として魔王と呼ばれる資格を持つ。その下の爵位持ちは下級貴族であり、例え何らかの称号を有していようと魔王としては扱われない。まあ、称号を有していたら大抵は七二柱に昇格するから、滅多に無い例外だろうがな」
「リオンはさっき自分のことを魔王と云っていたよな? 爵位を持っているのか?」
レクサールはリオンの説明から導き出された結論を言ってみた。
「ごく稀にだが、産まれながらにして称号を有する者もいる。俺はその数少ない例でな。昔は兎も角、昨今だと人間で云うところの成人後まではその称号を認められないが、員数外の魔王として遇される。本来、魔王というのは産まれながらの物ではなく、力を蓄えて成り上がっていくモノだ。自分の競争相手を蹴落とす能力、相手の動きを察知する能力、圧倒的な力で君臨する能力、それらが生まれたての赤ん坊にあるかと云えば怪しいところだからな。人間がイメージする魔王という存在を考えてみれば想像できよう? 誰もかもを圧倒する力があろうと、足をっ張られ蹴落とされる存在が魔王と云えようか? 大雑把に云えばそんなところだ」
リオンは手にしていた木の枝をぱきりと二つに折ると、そのままぽいっと木の根元に放った。




