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神と魔王と人類と  作者: 高橋太郎
第一章 転入
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その9

魔王(まおう)輩出(はいしゅつ)出来(でき)ない? 魔王とは生まれ持っての存在では無いのかい?」

 リオンにレクサールは正直に尋ねる。「申し(わけ)ないが、魔族(まぞく)に関しては(ほとん)ど何も知らないも同然なんだ」

 リオンはゆっくりとした動きで立ち止まり、脇にある大木を見上げながら、

「ふむ。そこからか。……ま、丁度良い時間稼ぎになりそうだ。多少、長話になるよ」

 と、沿道(えんどう)の脇にあるベンチを指差した。

 それの意味を悟ったレクサールは荷物をその脇に置き、ベンチに腰掛けた。

簡潔(かんけつ)な説明は苦手なんだがね、魔界(まかい)天界(てんかい)と違い実力主義、悪く云えば弱肉強食の世界だ。どんな底辺に生まれようと、実力さえあればのし上がれる。その(ため)、トップを特定の家系で持ち回りにしている天界と違い、一番力があるモノがその時の魔界の皇帝となる。と、云っても、皇帝になる為には特定の称号(タイトル)が必要となるから、最強の魔族が皇帝である、とも限らないんだがね。まあ、基本的にはそう考えておけば問題ない」

 レクサールの前をゆっくりと行ったり来たりしながら、リオンは静かな面持(おもも)ちで説明を始める。

「ふむ、皇帝を頂点とした実力主義の世界、って事か。ところで、称号(タイトル)と云うのは?」

 自分なりに()(くだ)いて理解しながら、レクサールは新しい用語の説明を求めた。

神族(しんぞく)もだが、天界と魔界の一部の住人はこの世界に()ける属性(ぞくせい)を有している場合がある。大抵(たいてい)(おのれ)の血統に宿る職能(しょくのう)とでも云うべき力が昇華(しょうか)され、その属性を最も上手(うま)く扱える存在に宿るモノだな。分かり易い例で云えば、我々魔族だと(なな)つの大罪(たいざい)あたりか」

傲慢(ごうまん)嫉妬(しっと)憤怒(ふんぬ)怠惰(たいだ)強欲(ごうよく)暴食(ぼうしょく)色欲(しきよく)、だったか?」

 前の学校でも教わっていたことだったため、即座にレクサールは答えられた。

「その通り。それを体現している存在がその称号(タイトル)をこの世界から(あず)かる。それが称号持ち(タイトルホルダー)、だ。神族にしろ、魔族にしろ、称号(タイトル)を有する連中は押し()べて化け物(ぞろ)い。まあ、(さわ)らぬ神に(たた)り無し、だな」

 桑原(くわばら)桑原と(つぶや)きながら、リオンはクスリと笑った。

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