その7
「魔界の事情は余り詳しくなくて、すまんな」
「構わんよ。ある意味で新鮮だ。成程、道理で俺の名を何も怖れる事無く呼び捨てにできるのか。新鮮で嬉しいモノだな」
何処がツボだったのかレクサールには理解出来なかったが、リオンは呵呵と腹を抱えて大笑した。
「喜んで貰えたなら幸いだ。こっちに来て最初の友達候補に妙な反応されるよりはね」
レクサールは複雑な表情で肩を竦めながら言った。
再びリオンはきょとんとした表情を浮かべた後、
「……いやはやいやはや、本当に君には驚かされっぱなしだ。冗談抜きでこれほど楽しい学園生活の始まりになるとは思わなんだ」
と、またもや腹を抱えて爆笑し始めた。
「何か問題でもあったのかい?」
「問題は無いよ、問題は。まあ、ただ、他の連中がそれを聞いていたらどう反応したかを想像したら、無性に笑えただけさ」
リオンは目尻に滲む涙を拭い、何とか体勢を立て直す。「いやあ、これほど笑ったのは何時以来かな。もしかして、生まれてこの方無かったか? なんと云う素晴らしい日だろう、今日は。あっちゃん以外の親友ができるわ、笑いが止まらないわ、うん。実に良い日だ」
リオンの台詞に敢えて突っ込みを入れず、レクサールはなだらかな坂道をのんびりとしたペースで歩んだ。
端から見ているだけでも分かるぐらい上機嫌だったリオンだが、校門の前に集まっている集団を見て顔色を変えた。
「……何かあったのか?」
急に動きの悪くなった同行者を気遣う様に、レクサールは尋ねた。




